いまだ、故障が癒えない状況を見て、「ひょっとしたら…」との声も出始めた。
中日に詳しいプロ野球解説者がこう言う。
「松坂から右肩の件を打ち明けられた中日は、まず、キャンプ地だった沖縄の大きな病院に連れて行きました。そのときの診断結果は『炎症』でした。炎症なら回復までそう時間はかからない。球団は安堵したんですが、松坂のほうが『まだ痛い』と言い続けています」
松坂はチームを離れ、名古屋に戻って別メニューの練習を行っている。その後、「本人の希望」で、かかりつけの都内病院で再診断を受けるのだが、結果は、与田剛監督をさらに混乱させる内容となった。
「脱臼には至っていないようです。ただ、かかりつけの医師は『(右肩の)関節がズレたような−』という言い方をしたそうです」(前出・同)
関節がズレたとは言っていない。「−ような」というだけでは、治療期間がどれくらい必要な状況なのか分からない。
松坂は自転車など、右肩に負担をかけない練習をマジメにこなしているそうだが、今シーズンは絶望、投げられないとの見方が強まってきた。
くしくも、松坂を起用したお茶のテレビCMがオンエアされている。「復活、まだ辞めるな」のエールがCM内でも流されていたが、右肩の故障を再発させた今、全てが意味シンに感じられてならない。
「松坂はプライドが高いんです。ソフトバンクがいったん支配下登録を外して、リハビリに専念してもらおうとコーチ契約を打診したとき、松坂は退団して、中日の入団テストを受ける道を選択しました。中日に入ってからも変わらないのは、松坂が目指す復帰像ですよ。松坂は先発ローテーションの主軸になり、シーズンを通して投げまくるのを目標としています」(球界関係者)
今年9月に39歳を迎えるベテランが,若い投手と同じように「中6日」で投げ続ける姿は想像できない。
高い目標を持つのも、悪いことではない。中日はベテランの多いチームだった。落合博満元監督の時代を支えたレジェンドたちも年齢を重ね、故障などに苦しんだが、チームを後方から支える立場に引いていった。投手なら200勝、バッターなら2000本安打などの個人目標を達成し、現役を退いていった。
ベテランに目標達成の環境が与えられるということは、チームに尽くしてきたかどうか、だ。松坂の個人目標は”エースに返り咲くこと”だが、与田監督に課せられたのは、チームの世代交代だ。復活が遅れるようならば、中日は松坂と今後のことを話し合わなければならないだろう。
近く、新しい年号が発表される。平成の怪物は時代の流れをどう考えているのだろうか。(スポーツライター・飯山満)