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平成の怪物・松坂が目指す理想の復活劇

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松坂大輔

 「平成の怪物」松坂大輔(38)の調整が大幅に遅れている。その理由は改めて説明するまでもないだろう。握手を求めてきたファンに腕を引っ張られ、右腕が抜けたような違和感と激痛に見舞われ、ペナントレース開幕も迫っていた今も本格的なピッチング練習を再開できないでいるのだ。

 いまだ、故障が癒えない状況を見て、「ひょっとしたら…」との声も出始めた。

 中日に詳しいプロ野球解説者がこう言う。

 「松坂から右肩の件を打ち明けられた中日は、まず、キャンプ地だった沖縄の大きな病院に連れて行きました。そのときの診断結果は『炎症』でした。炎症なら回復までそう時間はかからない。球団は安堵したんですが、松坂のほうが『まだ痛い』と言い続けています」

 松坂はチームを離れ、名古屋に戻って別メニューの練習を行っている。その後、「本人の希望」で、かかりつけの都内病院で再診断を受けるのだが、結果は、与田剛監督をさらに混乱させる内容となった。

 「脱臼には至っていないようです。ただ、かかりつけの医師は『(右肩の)関節がズレたような−』という言い方をしたそうです」(前出・同)

 関節がズレたとは言っていない。「−ような」というだけでは、治療期間がどれくらい必要な状況なのか分からない。

 松坂は自転車など、右肩に負担をかけない練習をマジメにこなしているそうだが、今シーズンは絶望、投げられないとの見方が強まってきた。

 くしくも、松坂を起用したお茶のテレビCMがオンエアされている。「復活、まだ辞めるな」のエールがCM内でも流されていたが、右肩の故障を再発させた今、全てが意味シンに感じられてならない。

 「松坂はプライドが高いんです。ソフトバンクがいったん支配下登録を外して、リハビリに専念してもらおうとコーチ契約を打診したとき、松坂は退団して、中日の入団テストを受ける道を選択しました。中日に入ってからも変わらないのは、松坂が目指す復帰像ですよ。松坂は先発ローテーションの主軸になり、シーズンを通して投げまくるのを目標としています」(球界関係者)

 今年9月に39歳を迎えるベテランが,若い投手と同じように「中6日」で投げ続ける姿は想像できない。

 高い目標を持つのも、悪いことではない。中日はベテランの多いチームだった。落合博満元監督の時代を支えたレジェンドたちも年齢を重ね、故障などに苦しんだが、チームを後方から支える立場に引いていった。投手なら200勝、バッターなら2000本安打などの個人目標を達成し、現役を退いていった。

 ベテランに目標達成の環境が与えられるということは、チームに尽くしてきたかどうか、だ。松坂の個人目標は”エースに返り咲くこと”だが、与田監督に課せられたのは、チームの世代交代だ。復活が遅れるようならば、中日は松坂と今後のことを話し合わなければならないだろう。

 近く、新しい年号が発表される。平成の怪物は時代の流れをどう考えているのだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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