警視庁捜査2課は7月6日、出向先のニュージーランドの関連会社から、現金を着服したとして、伊藤忠商事元社員で自称・派遣社員の男(32=大阪府守口市早苗町)を、業務上横領容疑で逮捕した。
逮捕容疑は、伊藤忠からニュージーランドにある植林会社「SPFL」に出向し、経理責任者だった13年8月〜今年2月、同社の銀行口座から自分の口座に70回以上にわたり送金し、約6億2300万円を着服した疑い。
元社員は10年8月から今年2月まで、同社に出向し、経理や営業、総務などを一手に担当。請求書を偽造するなどの手口で、着服を繰り返していた。同社は、伊藤忠や王子ホールディングスなどが共同出資して設立された会社。
今年2月、社内監査が迫ったことで観念した元社員は不正を申告。伊藤忠は3月27日付で懲戒解雇し、4月に警視庁に業務上横領容疑で刑事告発していた。同社は弁済を求めたが、金はほとんど残っていなかった。
元社員は社内調査に対し、「自己資金でやっていたFXに損失が出て、穴埋めをするために会社の資金を使った」と説明したという。
同社広報は「不正が起きたことを厳粛に受け止め、再発防止に向けてコンプライアンスの周知徹底を一層図ってまいります」とコメントしている。
銀行ならともかく、一般企業で、これだけ多額の金が横領されることは異例だ。
(蔵元英二)