今シーズンここまで119試合に出場している村上は、25試合で4番を任されるなど長打力が持ち味の選手。今月22日の広島戦では、清原和博(西武/1986年)以来となる「10代で30本塁打」という快挙を達成してもいる。
打率(.234)はリーグ最下位だが、本塁打は4位(30本)、そして打点に関しては1位タイ(85打点)の数字をマークしている村上。ネット上のファンからは、「打点王は十分可能性あるぞ」、「9月好調なら逆転で本塁打王もいけそう」、「ここまで来たら両方とも獲ってほしい」といったタイトル獲得への期待も数多く寄せられている。
もし獲得すればそれぞれ、「10代で本塁打王」(史上初)、「10代で打点王」(76年ぶり3人目)、「10代で打撃タイトル二冠」(80年ぶり2人目)といった偉業となる村上のタイトル。ただ、これらの実現に向けては、村上一人では対応が困難な懸念も存在する。それは自球団であるヤクルト投手陣だ。
25日終了時点におけるタイトル争いの状況を見ると、村上のライバルとなりそうな他球団の選手は本塁打では巨人・坂本勇人(32本/1位タイ)、DeNA・ソト(32本/1位タイ)の2選手。打点では坂本(81打点/3位タイ)、ソト(85打点/1位タイ)の両選手に、中日・ビシエド(81打点/3位タイ)、広島・鈴木誠也(79打点/5位)を加えた4選手となっている。
ここから村上がタイトルを手にできるかは、本人の頑張りはもちろんヤクルト投手陣がどれだけ前述の4名を抑えられるかにもかかっている。しかし、今シーズンのヤクルト投手陣が、彼ら4名に許した本塁打・打点は以下の通り。
坂本 :全32本中ヤクルトから10本(31.3%) 全81打点中ヤクルトから20打点(24.7%)
ソト :全32本中ヤクルトから6本(18.8%) 全85打点中ヤクルトから19打点(22.4%)
ビシエド:全81打点中ヤクルトから16打点(19.8%)
鈴木 :全79打点中ヤクルトから20打点(25.3%)
いずれの選手にもかなり数字を稼がれており、坂本に関してはセ・リーグの野手の中で唯一2ケタ本塁打を許している。村上を援護するどころか、“足かせ”として足を引っ張り続けているのが現実だ。
ライバル選手たちの所属球団とヤクルトの残り試合は、DeNAが4試合、そして巨人、広島、中日がそれぞれ5試合。これらの試合でも投手陣が変わらずカモにされるようならば、ファンが村上に期待する偉業の数々も夢物語で終わりそうだ。
文 / 柴田雅人