文学界の歴史に残る名作も、しょせんは人間が書いたもの。結局は男と女の恋の話じゃない、とばかりに名作の中に書かれた恋に対して、現代の目線から鋭いツッコミを入れる。これが実に痛快で面白い!
川端康成の著書『雪国』も、著者の手にかかれば「ちょっと陰のある男に惚れちゃって、ひょっとしたらこの男が自分を惨めな境遇から救い出してくれるあしながおじさんかもしれないなんて淡い希望も抱いたりするけど、やっぱり身体が欲しいだけのケダモノかもしれないわ、でも好きなんですという、現代でも地方のスナックならあるかもしれない男と女のラブゲーム」になってしまう。
難解な文学作品をここまで愉快に解説してくれる本はなかなかない。(税別590円)