東京でも世界中の料理が食べられるが、既に浸透しているインド料理や中華料理ひとつ取ってみても、日本人好みにアレンジしていて、本格的とは言えない事が多い。
その点、ニューヨークには、インド人、中国人、メキシコ人など、自国民を相手に本格的料理を食べさせるレストランや屋台が多く、私はメキシコ料理が美味しい屋台に、すっかりハマッてしまった。たったの2ドルで食べられるタコスも「スパイシーね」と注文し、付け合せの激辛ハラぺーニョをポリポリとかじるほど。最初は辛くて口の中が痛くなったが、段々慣れて来て、辛い、辛いと言うとメキシコ人の客連中に笑われていたのだがそんな事もなくなった。
日本流なのを食べて、がっかりするのが嫌なので、タコスはニューヨークでしか食べない。ハンバーガー、チーズケーキ、ベトナムフォー、タイ料理なども日本では食べようという気が起こらない。
今回初めて試したのがファヒータ、クラブケーキである。ファヒータはメキシコ流野菜炒めで、特に美味しい物ではなかったが、付け合せに出て来た自家製サルサが大変美味しかった。日本のカモメ製サルサの味とは比べ物にならない。
クラブケーキとは、甘いケーキではない。アメリカの食べ物で、カニ肉にパン粉やミルク、マヨネーズ、卵、イエローオニオンなどが入った揚げ物で、言ってみればカニ肉コロッケである。
これも特に美味しいとは思わなかった。ピザは既にイタリア料理ではなく、アメリカの国民食になっている。
タコスには安価に手に入るシラントロ(コリアンダー)やハラぺーニョが不可欠なので、日本では本格的な味は無理だと思うが、ワカモレ(アボカドディップ)ならコリアンダーやハラぺーニョなしでも美味しいから、日本でもブレークするのではないだろうか。(セリー真坂)