招致活動への協力要請は、本紙の質問に答えて明かしたもの。「非常にいいサジェスチョン(示唆)だ。私も同じことを考えていた。関係当局と相談して、ぜひああいう素晴らしいタレントを、走らなくてもですな、これから走る者のために、活用させていただきたいと思っています」と胸の内を述べた。
2000年シドニー五輪金メダリストで国民栄誉賞ランナーの高橋さんは、プロ引退後も市民ランナーとして走り続ける意向を示している。今後のスケジュールは白紙、陸上競技の普及活動などに一役買う姿勢を見せており、石原知事のラブコールに応える可能性は低くない。
知事は、小出義雄監督と離れてチームQを結成、牽引した高橋さんについて「あれはどうなのかねえ。小出さんという“名幕僚”の下にいたからね。自分のグループでやると難しいところがあるんだろうけど、うーん、まあしかし残念だった」と引退を惜しんだ。
さらに「ただ彼女の練習ぶりなんか見てると、よくまあ、あそこまで体を酷使してやってきたもんだと思う。(引退を)決心したからにはゆっくり休まれて、いい指導者になってもらいたい」と労をねぎらった。
世間には引退を残念がる声もある。しかし知事は「いろんな才能を持っているからあそこまでいけるんでね。Qちゃん、これから今まで以上に個性、能力を発揮して、活躍する世界があると思いますよ」と期待を込めた。
実際、高橋さんの再出発をめぐっては、一部で政界転身説がささやかれるなど、陸上競技界にとどまらない展望が開かれている。本人はまず“さよならラン”を走りたいと述べていることから、来年3月22日の東京マラソンに電撃参戦するプランなどが検討されそうだ。
都は東京五輪開催への世論喚起のため、大物タレントのみのもんた氏や萩本欽一氏、北京五輪野球代表監督の星野仙一氏らビッグネームを招致大使に任命。競泳の北島康介選手や女子レスリングの浜口京子選手ら現役アスリートも協力し、招致イベントを連発中だ。
来年10月のIOCコペンハーゲン総会での開催都市決定まで1年を切っている。1次選考トップ通過の東京は、鮮やかなラストスパートで感動を与えたQちゃんを味方につけ、招致レースで加速してぶっちぎりたいところだろう。