「オイ、ケニー!いないのは知ってるよ。オメエがいないから、俺はあえてベルトを置いてきたんだ。ここじゃないな、まだ。大阪城だな。6月9日、時間無制限3本勝負!そこで勝って、ベルトをしっかり巻いて、帰ってきます」
4日の後楽園ホール大会で、オカダはこう叫んだ。オカダはウィル・オスプレイとのIWGPチャンピオンタッグを結成し、ケニーの相方である飯伏幸太、チェーズ・オーエンズを相手に快勝していた。本人が言う通り、どの会場でも入場する際にIWGPヘビー級のベルトを腰に巻いてはいない。
王者はインタビュールームでも「いやぁ…ひっさしぶりの試合。約1ヵ月ぶり。間違いなくケニー・オメガ、出てこなかったねぇ!肩透かし。たまらないよ」と嘆く。「こんなにガッカリするのは久しぶりだけど、俺も抵抗させてもらうよ。子供がやるようなことかもしれないけど、ベルト、巻かねぇからな。6月9日、大阪城ホール、そこでは対戦相手はオマエだ」とケニーの思いをぶちまける。「しっかりベルト巻いて入場して試合して、時間無制限3本勝負、勝って、ベルトをまた巻いて、帰ってやる」と宣言した。
前シリーズでオカダは、飯伏、棚橋弘至らとともに最終戦のみ出場した。一方ケニーはシリーズを全休し、日本で大阪城決戦でのIWGPヘビー級王座初奪還に向けて練習に専念。本人はパートナーの飯伏と「限界を超えたトレーニング」を積んでいたと調印式の場で明らかにしている。
「ボクはただ、ホントに『このIWGPが最強なんだよ』ということを世界中に見せたいだけで。ボクがその新日本プロレスの先頭に立って、チャンピオンの素晴らしさ、新日本プロレスの素晴らしさというのをただ広めていきたい」と、世界にアピールする闘いを思い描くオカダ。これに対してケニーは「日本に来てから、俺は自分の目標を“リスト”にしてきた。『G1』優勝、『ベストバウト』をチェック、インディーベストバウト、タッグ王座、KO-D無差別級王座、IWGPジュニアタッグ王座、インターコンチネンタル王座…こうして考えると、全ての項目にチェックを入れてきて、『一番最後に残ったがこのIWGPヘビー級のベルトなんじゃないか?』と思う」と今回の一戦をキャリアの集大成と位置づけた。
3本勝負を提案したケニーは「時間よりフォールコントロールが重要。1本目、どちらがどれだけ早くフォールを取るか」をポイントに挙げた。過去の3本勝負の歴史をひもとくと、1本目は早期決着が多い。1本目を先取すると残る試合の主導権を握ることができ、精神的にも優位に立つことができる。ケニーのコメントは頭に入れておいた方が良さそうだ。
オカダのV13か?ケニーの初戴冠か?G1クライマックスにIWGPヘビー級王者として出場する選手が大阪城ホールで決まる。
取材・文 / どら増田
写真 / 舩橋諄