Aブロックは20日に静岡のキラメッセぬまづ大会で2戦目までを消化。タイガーマスクは2戦目でYOHと対戦した。
タイガーマスクは開幕戦で金丸義信と対戦し、一部のファンの間“タイガー対決”と話題になった。金丸はGHCジュニアヘビー級王座を7度戴冠し、全日本プロレスの世界ジュニアヘビー級王座を7回も防衛している。ベテラン同士ならではの濃厚な攻防は、勝負に出た金丸の一瞬の隙を突き、エビ固めで丸め込んでタイガーが勝利した。
YOHとの対戦でタイガーマスクは、若さ溢れるYOHのスピードに押される場面があったものの、タイガードライバー、ハイキック、雪崩式のダブルアームスープレックスで畳み掛けた。最後は必殺のタイガースープレックスホールドで、粘るYOHからフォール勝ちを奪った。
YOHが凱旋帰国と同時にCHAOS入りしたため、タイガーとYOHは所属するユニットが分かれてしまった。しかし、タイガーは試合後、YOHの成長を感じたのか握手を求め、YOHもこれに応じた。
また開幕戦のメインイベントで、IWGPジュニアヘビー級王者ウィル・オスプレイに完勝し、強烈なインパクトを残した“ボーン・ソルジャー”石森太二が、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのBUSHIと対戦した。
立体的な技の攻防にラフなテイストが入ったこの試合は、巻き戻さなければよく分からないような展開が続いた。オスプレイを撃破し、新日本マットへの定着をもくろむ石森は「こんなところで止まってられない」と、オスプレイも葬ったブラディークロスを放ち石森が勝利を収めた。
Aブロックはタイガーと石森が無傷の2連勝。金丸とBUSHIが2連敗となった。その他の選手が1勝1敗となっている。
Bブロックは前年度覇者のKUSHIDAと優勝候補のマーティー・スカルが開幕戦で敗れる波乱の幕開けとなった。
KUSHIDAはかつてのパートナー、アレックス・シェリーのパートナーでもあるクリス・セイビンと予想を上回る好勝負を展開。どこの国に出しても恥ずかしくないカードとはこういう試合のことを言うのだろう。この日はセイビンが勝ったが、明日またやればKUSHIDAが勝つのではないか、と思えるような試合だった。最後2人は握手を交わしていたが、また近いうちに見たいカードだ。
KUSHIDAは2戦目の相手がスカルなだけに、勝っておきたかったが…。スカルの初戦は同じく優勝候補の高橋ヒロムだった。敗れたからと言って「波乱」と表現するのは正しくないのかもしれないが、ヘビー級の選手との対戦で互角の勝負をしていただけに、ヒロム戦はしっかりと勝っておきたかったところ。
試合後にヒロムは「G1(クライマックス)よりもスーパーJr.が面白かったと思わせる」とマイクでアピールした。ヒロムはジュニアの人気をヘビー級よりも上げる、という野望を抱いている。対ヘビー級への対抗心はお互いにあるのだが、その方向性の違いが結果になって出たのかもしれない。
初戦に敗れたKUSHIDAとスカルによる22日の後楽園決戦はどちらも連敗が許されないだけに、結果が注目される。
22日の後楽園大会では他にヒロム対エル・デスペラードのロスインゴ対鈴木軍の対決や、田口隆祐対ドラゴン・リーのタグチ・ジャパン対決、クリス・セイビン対SHOのBブロック公式戦2戦目がそれぞれ行われる。
今シリーズは、ヘビー級の主力選手で出場しているのはSANADAと鈴木みのるぐらい。IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカをはじめ、内藤哲也、棚橋弘至、後藤洋央紀、ケニー・オメガ、飯伏幸太らヘビー級の主力選手は出場していない。それでも18日と19日の後楽園大会は札止めの大盛況だった。
25回の歴史を持つスーパーJr.ブランドの信頼性と安定性を改めて実感した。2018年初夏の新日ジュニアは面白い!
文・どら増田
写真・広瀬ゼンイチ