議会初登板の森田氏はメッタ打ちこそされなかったものの、不安材料を残すホロ苦デビューとなった。同日開会された県議会には報道陣約20人が集まり、平日午前にもかかわらず定数178人の傍聴席は満席。議会担当職員も“モリケン効果”に驚く、注目度の高さを見せつけた。
「千葉県政の県営を託され誠に光栄に感じるとともに、県民の思いを考えると身の引き締まる思いです。一切の利権政治とは決別することを宣言します」
議場に思わず苦笑いが充満した。所信表明では選挙時と変わらない派手な手ぶりを交えて熱く誓い、自ら千葉ブランドのセールスマンになることも強調した。しかし、満員の傍聴席には、森田氏の“政治とカネ”の問題を追及する市民団体のメンバーが集結、開会前から不穏なムードが漂っていた。
所信表明が終わるなり、「森田健作氏を告発する会」(井村弘子代表)の呼びかけ人を務める吉川洋議員(市民ネット)が手を挙げた。森田氏が自民党支部長を務めながら「完全無所属」を掲げて知事選を戦ったことや、外国人の持ち株比率が50%を超える企業から献金を受けた事実について説明責任を求める緊急質問動議を起こし、本会議は一時中断された。
同会派の大野博美議員は八ツ場ダム問題を追及した。森田氏は選挙前、一部メディアのアンケート調査でダム問題について「十分協議検討したうえで考える」と答えていたにもかかわらず、先ごろ開かれた「八ツ場ダム推進議連一都五県の会」ではあっさりと賛成の立場を表明。これを「公約違反ではないか?」とぶつけた。
議場からは「マニフェスト(政権公約)には書かれていないんだろ!」と森田氏を援護するヤジも飛んだ。両議員が起こした動議は最大派閥の自民党を中心とした議員らが賛成せず否決された。
閉会後、傍聴した市民団体らからは「あぁ〜何のために来たんだよ。俺たちの血税を使ってながら不正について話し合うこともしないのか」とため息がもれた。
さらにこの日、民主党など野党3会派は、森田氏が自民党支部の代表を務めながら選挙戦で「完全無所属」を強調した問題などについて、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める発議案を提出したが、これも自民党などの反対多数で否決。森田氏は記者団に「選挙で勝った、負けたもあり、最初はがたがたする」と述べた。
傍聴を終えた市民団体のメンバーは「これで終わりにしちゃいけない」とこぶしを握り締めた。(関 淳一)