鳴りやまない大歓声に永田は“キラーファイト”で応えた。
2・17両国大会前の異常発生から約2カ月半ぶりとなるリングに駆け上がった永田。この日のメーンで同世代の中西学、金本浩二との新日プロが誇る第3世代トリオでゼロワンMAX田中将斗&崔領二&日高郁人を迎え撃った。
「何の不安もなかった」。脳の異常による不安はみじんも感じさせなかった。ゴング直後からケンカ状をたたき付けてきた田中を目がけて猛突進。大「ナガタ」コールに背中を押されたのか、すさまじい勢いでつかみかかり、意のままにエルボーを乱射した。
ビッグブーツに腕折りでリング上に「テエィッ!」との掛け声がこだまする。試合開始直後からなりふり構わずフルスロットルだ。田中への攻撃は止まらない。独特の構えからミドルキックをブチ込めば、すかさず倒れたところにナガタロック。わずか5分足らずの間に田中を仕留める勢いで攻め立てた。
それでも10分過ぎにはピンチ到来。今度は逆に田中から垂直落下式ブレンバスターでマットにたたき付けられてしまう。容赦なく頭部を痛めつけられてヒヤリとさせられたが、ここで永田はついに“キラースイッチ”を入れる。
ラリアートにきた崔を捕獲すると、待ってましたとばかりに白目をむいての腕固めだ。会場のボルテージも最高潮。そのまま最後は中西が崔をヘラクレスカッターで仕留めて復帰戦を白星で終えた。だが、試合後は「こんなんじゃもの足んねーよ」と口火を切り「オレが帰ってきたからには何の心配もない」と叫んだ。
ゼロワンとの対抗戦に自らの手で終止符を打つ構えだっただけに、不完全燃焼だったのか「もうちょっと田中とぶつかりたかった」とシングルでの完全決着への思いもチラつかせた永田に対し、田中も即座に呼応。試合後は「100%になったら誰も言い訳できん状態で一騎討ちしたる」とケンカ腰だった。
田中との決着戦のため早くもシングル戦線復帰が持ち上がった永田。復帰戦を観戦した菅林直樹社長も「正直ホッとした。シングル戦についても時期とタイミングを見て考えたい」と見解を示しただけに、今後の動向に要注目だ。