それが、ラーメンが大ブレークした今ではアメリカ人もズルズルと音を立てて食べているという噂を聞きつけてウソかマコトかリサーチしてみた。
明星ラーメンの営業の西岡さんは仕事柄あちこちのラーメン屋に顔を出すが、「ええ、ズルズルやってますよ」と言うが、自分のボスがラーメン好きと言う日本人のOLは「いえ〜、ズルズルしてませんよ、というか、箸使いが下手なのでできないみたいですよ」と反証する。その白人のボスは肥満を気にして麺は食べずにつゆだけを飲んで「ラーメンは美味しい」と言っているそうなのだ。
「めんちゃんこ亭」に長く勤めていたある女性は「日本にいた事のあるアメリカ人はズルズルするみたいです」と証言。
ズルズルするのかしないのか、やはり見聞が必要とあって、イーストビレッジの人気店「モモフク」を覗いてみた。ほぼ満席の客はほとんどアメリカ人。カウンターのアメリカ人男性に狙いをつけて見ると、まず危なっかしい手つきで麺をすくう。次いでチョロチョロと口に運ぶ。西洋のスープを飲む要領で息を止めて麺をたぐり入れている。全くズルズルしていないのだ。日本人女性の4人グループもいたが、こちらも同じように食べている。アメリカにいる間にそうなってしまったようだ。
前述の日本人女性も「アメリカ人とラーメンを食べる時にはズルズルしないように気を使う」と言っていた。
聞いてみると、中にはズルズル食べるというアメリカ人女性もいたが、パーセンテージは低い。麺類(特にソバ)を派手な音を立てて食べるという日本の「文化」はまだまだ浸透するところまでは行っていないというのが本当のところ。
ジャパニーズ・フード好きを自称するアメリカ人でもご飯にマヨネーズやしょうゆ、塩などを振りかけて食べ、スシ・レストランに行けばチャッチャッと割り箸をすり合わせ、小皿にしょうゆをどっぷり入れ、わさびを入れてグルグルっとかき回してスタンバイ。頼むのは巻物ばかりという場合が多い。これがNYの日本食流行りの実態のようだ。
(セリー真坂)