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憂うつとうつ病の間、半うつ状態の現代人が5人に1人 背景に日本独自の文化的思考が大きく影響

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ビジネスマン

仕事に行けるし、家事もできるから「うつ」とまでは言い切れない。だけど、確かに憂うつを超えた不快感がある。体は動くけれど、心が動かない―――。

25年間、精神科医として働く平光源氏が憂うつ以上、うつ病未満のグレーな心の状態を「半うつ」と提唱し、9月に出版した著書「半うつ 憂鬱以上、うつ未満」(サンマーク出版)が話題となっている。延べ20万人以上の患者を診てきた平医師によると、現代人の5人に1人が半うつ状態だとされ、長引く不調を抱える人に半うつという概念を知ってもらいたいと警鐘を鳴らす。

では、半うつとは一体どのような状態なのか。

人間の脳の中では、神経細胞同士が「神経伝達物質」という物質を使ってやり取りをしていて、減ってしまうと脳のネットワークがうまく働かなくなり心にも影響が出てくるという。中でも特に重要な役割を持つ神経伝達物質は3つ。

①セロトニン(心のブレーキ):心の安全装置のような存在。低下すると憂うつ、不安、焦燥感が強まる。

②ノルアドレナリン(心のアクセル):心にやる気をともす存在。低下すると意欲や興味関心が減退。

③ドーパミン(心のエンジン):心にワクワクを抱かせてくれる存在。低下すると楽しくなくなる。

うつ病は3つの神経伝達物質が大幅に減少した状態で起きてしまう。だが半うつは、3つのうちのどれか1つ、もしくは2つが不足している状態だとされる。

半うつ状態から本格的なうつ病に至ってしまうのは、どのような原因が考えられるのか。平医師はうつ病になってしまう人の心理状態を3点挙げる。

まず1つ目は心の病を否定してしまう心理だ。「私は自分をコントロールできている」と自分を信頼してきた人ほど、心の不調を認めることが難しいと指摘する。2つ目はいまだに根強くあるうつ病への社会的偏見がある。「うつなんて甘えだ」という偏見を受け入れてしまい、「私はそんな甘えた人間ではない」と無理に思ってしまう。最後の3つ目は日本独特の恥の文化から起こる「うつなんて恥ずかしい」と感じてしまう心理。他人の目線を気にする恥の文化から、心の病を否定してしまう。これらの心理が半うつやうつ病を長引かせてしまう原因となる。

平医師は半うつについて、「名前がつけば『対処法がある』『1人じゃない』と思えるようになります。名前がないばかりに見過ごされてきた苦しさに「半うつ」という名前をつけ、その改善法を具体的に示した」と著書について説明している。

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