「喜多方ラーメン」といえば、「札幌ラーメン」や「博多ラーメン」と並び、日本3大ラーメンとも呼ばれるほど知名度が高い。関東地区でも、その名を冠したラーメン店は多く、醤油ベースのスープは関東の人の舌に合うとあって人気がある。
地域団体商標は地域ブランドを育成するため、06年に創設された制度で、温泉、特産物、牛肉などが登録されている。訴訟は制度導入後、登録を認めなかった審決の是非が争われた初のケースだった。知財高裁は10年11月、「『喜多方ラーメン』の名称が、原告の組合とその加盟店だけの商品、サービスとして広く認識されているとはいえない」として特許庁審決は妥当と判断、組合側の請求を棄却していた。
その理由として、第1審の知財高裁は、「老麺会」への喜多方市内のラーメン店の加入率が低いこと、喜多方市外でも普及している名称であることから、「喜多方ラーメン」が「老麺会」とその加盟店だけの商品・サービスとして広く認識されているとはいえず、特許庁審決を妥当であると判断したものだった。
確かに「老麺会」が「喜多方ラーメン」の呼称を地域団体商標として取得した場合、「老麺会」に加入していない多くのラーメン店や、喜多方市外で営業している店舗が、その名を使えなくなってしまう恐れもあり、今回の判決は妥当といえるのかもしれない。
(蔵元英二)