NHKと民放連によると、これはテレビ、ラジオ放送のほか、インターネットや携帯電話などすべてのメディアの権利を含む料金だという。10年のバンクーバー冬季五輪と今年のロンドン夏季五輪の放送権料は計325億円で、約11%値上がりした。
世界で最も高い五輪放送権は米国向けで、米テレビネットワークNBCが昨年、14〜20年の4大会を一括して計43億8千万ドル(約3340億円)で取得。4大会分でバンクーバー、ロンドン2大会分のほぼ倍額で、高騰を続けてきた五輪の放送権料が頭打ちになったといわれていたが、日本向けは上昇が止まらなかった。
10年のサッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会では、民放全体の収支が五輪、W杯を通じて初めて赤字になった。今夏のロンドン五輪も民放の収支見通しは不透明で、民放からは「このまま放送権料の高騰が続けば、無料放送で五輪やW杯を中継するのは難しくなる」との声も出ている。
ロンドン五輪での収支次第だが、それが悪ければ、早ければ14年のソチ冬季五輪から地上波での無料放送が消える可能性が出てくる。そうなれば、有料のCS放送や、番組ごとに購入するPPV(ペイパービュー)方式で、五輪の中継を見ざるを得なくなってしまう。世界最大のスポーツの祭典である五輪のビジネス化も、いい加減ほどほどにしてもらいたいところだ。
(蔵元英二)