この14日目での優勝決定に、相撲中継をしているNHKが、ホッと胸をなで下ろしたというのだから穏やかではない。
この結果、千秋楽は単なる“消化相撲”となることが決定した。興行として理想的だったのは、白鵬が日馬富士を下したケース。そうなれば、両力士ともに13勝1敗で並び、優勝争いは千秋楽に持ち越される。NHKも視聴率的には、その方が数字が取れることはいうまでもない。
それでは、なぜNHKが、この結果を歓迎したかというと、地デジ化だ。被災地の宮城、福島、岩手を除く44都道府県では、24日正午をもって、アナログ放送が終了し、地上デジタル放送が開始。この地デジ化を目前にして、まだ地デジへの対応をすませていない視聴者からNHKへ、「テレビが見れないなら受信料を返せ」という苦情が殺到したという。その地デジ未対応の視聴者のなかでも、相撲ファンからは「大相撲の千秋楽が見れない」という悲鳴ともいえる泣きが多数入ったというのだ。
しかし、千秋楽前に優勝が決まったため、NHK側は該当する相撲ファンからの苦情が減るとみている。本来なら、千秋楽に持ち越してもらいたかった優勝争いだが、14日目での終戦に安どしなければならないとは、なんとも皮肉な話だ。
(落合一郎)