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4強進出は夢物語か現実か? 欧州遠征で真価問われる岡田ジャパン

 2010年南アW杯出場を決めた岡田ジャパンが本大会への新たな第一歩を踏み出す。今週からの欧州遠征でFIFAランク3位のオランダ(5日)、同35位のガーナ(9日)に挑む。特に敵地でのオランダ戦は日本代表の実力を測る絶好の機会。岡田監督の言う「4強進出」が夢物語か現実味のあるものかがついにハッキリする。

 2006年ドイツW杯惨敗から3年。豪州に次ぐ2位でアジア最終予選を何とか突破したが、今の日本が世界でどこまでやれるかは全くの未知数である。世界トップとの真剣勝負のチャンスがほぼ皆無だったからだ。
 3年間の全49試合を見ると、アジア勢との対戦が32試合と極端に多い。欧州とは6戦あるが、ドイツ大会16強のスイスが最高。南米勢もブラジルとアルゼンチンとは試合していない。
 中盤の要・遠藤保仁(G大阪)が言う。「ジーコの時はU-20W杯とか五輪など年代別世界大会に出たり、海外でプレーする選手が多くて、チーム全体の国際経験値が非常に高かった。しかもフランスやイングランドなどの強豪との試合も多かった。だけど今は国際経験のない選手が多く、試合もしていない。全てはこれからだと思う」。

 だからこそ、5日のオランダ戦は特に重要な試金石。岡田監督はこの大一番をあえて現有戦力で戦うことにした。メンバー22人のうち初召集は森本貴幸(カターニャ)ひとりだが、直前になって左太ももの違和感でチーム合流が不可能になったのは痛い。また復帰組も稲本潤一(レンヌ)、岩政大樹(鹿島)、前田遼一(磐田)の3人だけだ。
 「欧州遠征は最終予選メンバーで真っ向勝負して、強豪を肌で感じたい。新戦力のテストは10月の3試合に行い、11月の南ア遠征に最強チームを連れて行く」というシナリオが指揮官にはあるという。
 とはいえ、南アへのリスタートの試合に惨敗すれば、チーム作りに軌道修正が求められるのは必至。ロッベン(バイエルン)やファンペルシー(アーセナル)ら豪華FW陣に日本守備がズタズタに切り裂かれれば、ファンの失望は計り知れないろう。「岡田がやり方を変えるだけではダメ。岡田を変えろ」という更迭論が再燃する可能性も否定できない。
 ただ、当の本人は「みなさんは笑うけど、私はベスト4と言ってきた。そこそこ行けると思うし、すごく楽しみ」と彼自身は余裕のコメントを残している。だが、現実はそう甘くない。
 遡ること8年前。2001年3月、トルシエ率いる日本代表は当時の世界王者・フランスに敵地で挑んだ。2000年10月のアジア杯(レバノン)で優勝した自信を持ってのぞんだが、雨でぬかるんだピッチに足を取られてボールが収まらない。相手に凄まじい勢いを見せられ、開始15分足らずで2失点。最終的には0-5で完敗した。
 前半で交代した中村俊輔(エスパニョール)は「手も足も出なかった」と青ざめ、トルシエも凍りつく有り様。帰国後には敗因分析の記者会見まで開いたほどだ。この歴史的惨敗で、フランス人指揮官は選手入れ替えを決断。本大会で中村俊輔が外れたのも、これが引き金になった。岡田ジャパンが同じような道を辿らないとも限らない。
 この欧州遠征で最も重要なのは、誰が本当に使える選手なのかをしっかりと見極めること。欧州で実績を積み上げる中村俊輔やカターニャで結果を出す森本、オランダで勢いに乗る本田らは大丈夫だろうが、問題は国際経験の少ない国内組だ。彼らが難しいとなれば、高原直泰(浦和)らW杯出場経験者の復帰を視野に入れてもいい。
 いずれにせよ、岡田体制1年9カ月の真価が今、ここで問われるのは間違いない。

◎急成長の決め手は強豪との腕試し
 トルシエ=写真、ジーコ時代は強豪との腕試しの場がもっと多かった。トルシエ時代はフランスに2度挑んだほか、スペイン、イタリア、ブラジルなどと対戦。02年W杯直前にはポーランドに圧勝し、本大会への揺ぎない自信を得た。
 ジーコ時代もドイツやブラジルと2度対戦。アルゼンチンやフランスとも試合をしている。チェコに勝ち、イングランドにも引き分けた04年には急成長した実感を持てた。現在の岡田ジャパンにはそういう時期がまだないだけに、来年6月までの9カ月間が勝負となる。

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