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ネルソン事件余波

 銃弾保持で沖縄県警に逮捕され、送検された中日・ネルソンに対し、中日球団が「3月2日から5月末までの3か月間、いっさいの試合出場停止」処分を科した。が、これで完全に一件落着とはいかない。

 加藤良三コミッショナーは「球団の処分は適切だと思う」としながらも、追加制裁の可能性も口にしている。「警察、検察の事実認定がまだなされていない。それを見てから(コミッショナー処分を)考えたい」と語り、起訴されるか、不起訴になるか、警察、検察の今後の動向を見守った上で、最終判断することになる。
 確かに加藤コミッショナーの言うように、ネルソンの銃弾所持事件にはまだ納得できない謎がある。ドミニカの自宅で所持している護身用の銃の実弾が1発だけ間違って日本行きの荷物に中に紛れ込んでしまったというのが、ネルソンの釈明だ。が、沖縄・北谷キャンプが終わり、名古屋へ行くための那覇空港での手荷物検査までなぜ見つからなかったのか。米国マイナー時代に集団偽装結婚事件に関与したために、米国へ入国できず、ドミニカからヨーロッパ経由で来日したというが、テロに対する世界的な厳戒態勢のこの時代、どこかでチェックされなかったのか不思議だ。

 中日関係者によると、「ネルソン本人は、『大きな荷物は船便で日本へ送ったから、その中に紛れ込んでいたのではないか』と言っている」そうだが、疑問は消えない。「基地の多くある沖縄で手に入れた実弾ではないか」という、当然のように出てくる憶測もある。
 事実関係は、加藤コミッショナーの語るように、警察、検察の事実認定を待つしかないが、監督就任以来、腹心の森繁和ヘッドコーチを実働部隊にしたドミニカルートを開拓してきた落合博満監督は大きな衝撃を受けているだろう。「安物買いの銭失い。森と西武時代以来、親密な関係にあるマルちゃん(マルティネス氏=元西武、巨人)がエージェントをしており、落合、森、マルちゃんの小遣い稼ぎだろう」という、アンチ落合派の酷評にもめげず、昨年、掘り出し物の3000万円の4番打者・ブランコをマンツーマンで育て上げたばかりの落合監督。今年は年俸1300万円の投手バルデス、1600万円の野手セサルという新外国人選手コンビの売り出しを図っている。他球団にない格安のドミニカルート確立の年と意気込んでいたところなのに、ネルソンの銃弾所持事件がぶち壊しにしかねない。
 中日球団の出した「3か月間の試合出場停止」処分だけでは、騒動の根本的な解決にはならず、新局面の可能性もあり、次に何が起きるのか、予断は許さない。

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