11月のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝で2戦合計5-0と圧勝しているアデレード相手だけに、G大阪が圧倒的優位と見られたこの試合。だが、日本代表MF遠藤保仁が「正直、過去2回戦ったアデレードではなかった」と話すように、今回は激しいプレスに戸惑った。開始20分間は不用意なミスからカウンターを食らう場面が後を絶たなかった。
それでも前半23分、首尾よく先制点を奪い、落ち着きを取り戻す。負傷で退いた佐々木に代わって登場した播戸竜二が巧みに落とした浮き球を遠藤がゴール。「GKの股抜きは狙ってました」と言い切る強心臓のエースの活躍で、西野監督も一息つくことができた。
しかし追加点が奪えず、相手のパワープレーに押されるなど課題だった守備のもろさも露呈した。結局は完封したものの、マンU戦に向けて不安の残る内容だった。
アデレードとC・ロナウドやルーニーら屈指のタレントを擁する常勝軍団は全く違う。スキを与えたら、いとも簡単に粉砕されてしまうことは、選手たちが一番よく分かっている。
「今日みたいな試合をしたらまず無理。1対1になったら9割方は不利だろうけど、強い気持ちを持ってやるしかない」と主将の山口智が自戒を込めて言う。元日本代表の加地亮も「次の相手は別格。強さ、速さ、テクニックを全て揃えている。ミスしたら軽く3〜4点は取られてしまう」と警戒心を隠さない。
そんな強豪相手に、戦力的に苦しいG大阪は、何をすればいいのか。
まず第一に考えるべきなのが、試合への手堅い入り。2002年日韓W杯の日本代表だったMF明神智和は「最初の20分くらいをうまくしのげれば、チャンスはめぐってくる」と強調する。守備面に難を抱えるG大阪だからこそ、立ち上がりに堅守を見せられれば、いいリズムに乗れるはずだ。
G大阪は代表経験者が数多くおり、雰囲気に飲まれることはまずないだろう。04年のイングランド戦でスコールズと対峙している加地も「相手の間合いを確かめつつ慎重にやればいい。やられない自信はある」と冷静に語った。そういう部分も非常に心強い。
守りを固めたうえで、G大阪らしい攻撃サッカーを貫くこと。それが2つ目のポイントだ。「今日の得点シーンのような形を止められても狙い続けないといけない。ダメでもゴールに向かうプレーをやり続けること。それが勝利への突破口を開くことになる」と遠藤も力強く話した。
そして最後はずる賢さ。岡田ジャパンの突貫小僧・安田理大は「マンUは欧州最強だけど、油断やスキは必ずある。それを突いたら必ずチャンスは作れる」と目を輝かせた。今日15日に来日するマンUにはG大阪戦まで3日しかない。プレミアリーグやチャンピオンズリーグの過密日程のため、次の試合は控え中心と見られ、連係や精神面で綻びが起きる可能性も高い。それだけにスキは生まれやすいのだ。
この3か条を実行できれば、おのずと勝機は見えてくる。マンUといえども同じ人間。下克上は必ず起きる!