6月1日の北海道日本ハム戦に勝利し、連敗がストップ。18日ぶりの白星にも東京ヤクルトの高津臣吾監督は冷静に、
「みんなつらい時間を過ごしたと思う。ただ、こんなことがあるからチームの心、チーム力が上がる」
と語っていたが、表情は明るかった。
連敗脱出のキーマンとなったのは、「2人の神サマ」。3番に「代打の神サマ」こと川端慎吾が今季初スタメンで起用され、「村神サマ」こと村上宗隆も“新兵器”を取り寄せていた。
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村上は3回に10号2ランを放つなど、新兵器がいきなり成果をもたらせた。
その新兵器とは、“新バット”。村上は880gと900グラムの2種類を使い分けてきた。しかし、さらに10g重いバットを取り寄せ、同日の試合に臨んでいた。
「村上クラスになれば、10g重くなったくらいでスイングスピードが変わることありません。感覚と言うか、感性の話になります」(チーム関係者)
その新バットから放たれた打球が左翼スタンドに飛び込み、勝利に繋がったわけだが、この日本ハムとの3連戦が始まった5月30日、村上はWBC中に意気投合した万波中正の元を訪ねていた。
「万波はWBCのサポートメンバーでした。2人はバットの話で盛り上がっていました」(前出・同)
「10gの重量増」のヒントは、万波との談笑にあったようだ。
1日の試合は4打数2安打3打点。コーチ経験のあるプロ野球解説者はこう評していた。
「対戦投手は左の加藤貴之でした。村上は左打ちなので『左対左』は打者不利と言われており、よりコンパクトなスイングを心がけなければなりません。同日の第1、2打席の村上はそんな印象を受けました」(プロ野球解説者)
ホームランが不振脱出にも繋がれば良いのだが、その10号アーチが出た直後のベンチの反応が意味シンだった。
ベースを一周し、ベンチに帰る村上をヤクルトナインが出迎えた。高津監督は村上とハイタッチを交わし、プレー再開となってからも村上の方をチラ見していた。
村上は子どものようにはしゃぎ、また、話し掛けて来るほか選手たちにも笑顔で対応していた。高津監督は何も言わなかったが…。
「村上の精神面を心配しているんです。村上の打率はまだ2割2分2厘ですよ(同終了時点)。考え込むタイプなので、不振時のマイナス思考を断ち切れたのかどうかを高津監督は確認したかったのでしょう」(前出・関係者)
NPBデータを見てみると、同日の打順は今季50試合目で44通り目だった。川端の3番起用にも驚いたが、1番は山田哲人である。いきなり、山田、青木宣親、川端と対戦し、一人でも走者を出せば昨季の三冠王との対戦となる。スクランブル態勢とは言え、チームの看板選手を並べたこのオーダーは脅威だ。
いずれは最下位を脱出し、V戦線にも復帰してくると思われるが、守備に就くと、ヤクルト選手たちは足元も気にしていた。エスコンフィールドの天然芝のせいだ。
早く、チームの足元も固まればいいのだが。(スポーツライター・飯山満)