支持率急落ショックで心ここにあらずだったのか。事件が起こったのは参院財政金融委員会の席上。麻生首相は、景気の現状認識をめぐり「低迷している」と言いたかったところを、「『ていまい』している」と読み間違えてしまった。
首相はすぐに言い間違えに気付いて「ていめい」と言い直したが、勢いづく野党サイドはこれを見逃してくれなかった。間髪入れず野党席から「ていめいだろっ!」などとヤジと笑い声があがったため、よせばいいのに首相は再び口を開いた。
「『ていめい』と言ったじゃないか。こういうヤジしか出なくなると悲しいですな。もうちょっとレベルのたけえ(高い)ヤジが聞こえねえかと思わないではない」(首相)
よほど腹に据えかねたのだろう。丁寧な言葉遣いに交じり、最近封印していた“べらんめえ調”が復活。ヤジのレベルをヤジるという禁じ手に出た。首相の応戦は、この話をおもしろくするだけで首相サイドに何のメリットももたらさない。
永田町関係者は「漢字言い間違えそのものよりも、ヤジられた麻生首相が『悲しい』と表現したことにいまの心境がはっきり表れている。新聞報道やテレビのワイドショーで漢字の言い間違えが指摘されるようになってから、麻生政権の支持率は下落の一途。悔しくてたまらないのだろう」と話した。
麻生首相はこれまでにも、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」、「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」などと読み間違えて“おバカ”扱いされてきた。しかし今回の場合は、発言後に第三者に間違えを指摘されたわけではなく、話の中で自分で気付いて発言修正している。“セーフ”という思いが強かったようだ。
本紙が麻生首相の漢字読み間違えを最初に報じたのは、先月11日発行紙面。学生との居酒屋懇談メニューに「ホッケの煮付け」をあったとする首相に対し、大島理森国対委員長が「ホッケに煮付けはありません。ホッケは焼くしかないんです」と鋭い突っ込みを入れた話題のサイドストーリーとして報じた。その直後から各メディアで大々的に報じられ、約1カ月ぶりの再発といえる。