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永田町血風録 政権交代へ説得力に欠ける新生民主

 2世議員はダメ、世襲もダメ。与野党そろって、こう大合唱している。衆参両院に今、その2世議員や世襲議員がどれだけいることか。

 自民党総裁の首相・麻生太郎も、そしてこの度、民主党代表になった鳩山由紀夫も、共に父や祖父が一時代を担った首相だった。
 政治の世界は、なんといっても“顔”が優先する。どれほど大義名分を並べても、生き抜くには選挙で当選しなければなけない。当選する第一条件は知名度、つまり有権者によく知られていないといけない。
 全くの無名候補者とある程度知られた候補者では、知られた方が票を増やしやすいのだから。そのため2世や世襲が有利になる。
 先日の民主党代表選で「政権交代」を鳩山も岡田克也も口走っていたが、鳩山の場合、祖父も父も首相、外相を経験してきたエリートの政治家一家。そういう人が政権交代をと言っても、なぜかもうひとつ国民に訴える迫力に乏しい。
 「政権交代とは、どこの誰に向かって言っているのか。あれは民主党内の議員に大してのポーズに過ぎない」

 政界人のほとんどは、こう判断している。小沢一郎の代表辞任から、たった2日、3日で代表選挙が行われ、それも鳩山と岡田の2人だけ。“出来レース”感は否めない。若手が手を挙げたくても小沢の目が光っていたのでは、それも叶わなかったのだ。
 その小沢も父の代から自民党の重鎮政治家だった。知ってのとおり小沢も2世議員なわけだ。「あの人に睨(にら)まれては、これから国会議員としての立場もなくなるから、長いものには巻かれた方が得策」ということになって、若手は手を挙げなかった。
 鳩山も岡田も自民党時代には小沢に世話になっている。ましてや2世議員たちは、来たる総選挙で自分を有利にしたいがため、あえて発言しなかったこともあって、民主党代表選はマスコミが囃(はや)し立てるだけで、党内は静かだった。
 かつて小泉純一郎が、「首相、総裁として、オレが自民党をぶっ壊す」と総選挙で吠えまくった。小泉のアジテーションと演技力が光った「劇場型総選挙」と言われたことと比較して、今回の民主党代表選はコマ不足もいいところだった。
 というのも、民主党も2世議員が多く、「まあまあ」で幕が引かれたからだ。そういえば、鳩山の祖父・一郎はよく「友愛」という言葉を口にし、麻生の祖父・吉田茂(元首相)と保守の大連立を成し遂げた。
 まさか孫の代で大連立の再現はないだろうが、かくも似た者同士であることも確かなのだ。
 いささかトウの立った“新生”民主党が、自民党にどう対峙していくのか。それが来たるべき総選挙の前の最大の関心事になってきた。(文中敬称略)

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