実は、お餅はパワーフードとしても知られ、とても体に良い食材。暖かくなるにはもう少しかかる今の時期にこそ相応しい食べものなんです。
今回は、お餅の栄養や健康効果、効率のいい食べ方などを看護師の大木アンヌさんにお聞きしました。
■お餅はパワーの源
「パワーフードとは、力の源となる栄養を多く含み、食べることで健康状態を高めてくれる食材のことです。お餅はまさにそのなかのひとつ。餅の原料はご存知の通り、糯(もち)米です。成分としては、でんぷんが70%を占め、その他は水分やタンパク質、脂質になります。お餅のでんぷんは、ほとんどアミロペクチンという成分からできていて、食べたときのもちっとした食感は、アミロペクチンを加熱すると粘り気が出るのでそのためです」
■粘り気が腹持ちの良さの秘密
「お餅はよく、腹持ちがいいと言われますが、これはアミロペクチンが要因となっています。アミロペクチンは吸収が良く、効率よくエネルギーに変換されます。そうなると、すぐにお腹が減ってしまいそうだと思うかもしれません。でも、粘りがあるため消化に時間が掛かり、ゆっくりと分解されていくのでお腹が空きにくくなるのです。ですから、ご飯が食べる時間のないぐらい忙しい日や、マラソンなどの持久力を必要とするスポーツの前に食べたりすると、体力が持続しやすくなります。うどんに入れたりすると、“力うどん”と呼ばれたりしますが、これは食べると力持ちになったり、底力が湧いたりすることからついたそうです」
■アレンジを加えてさらにパワーアップ
「お餅はいろいろとアレンジができる食材ですが、一緒に食べるのにお勧めなのが、大根おろしです。大根おろしにはアミラーゼという分解酵素が含まれていて、一緒に摂取することで消化を促進してくれるからです。また、納豆と一緒に食べると、栄養素であるナットウキナーゼの効果により、血液をサラサラにする効果が得られます。ネバネバとモチモチの相性もいいので、食感も楽しめ食べやすくなります。定番であるきな粉には、大豆イソフラボンが含まれていて、美肌効果などが見込めるので、女性にとってはありがたいですね」
■喉に詰まらせるのは飲み込む力の衰え
「お餅を食べる上で心配なのが、喉に詰まらせることです。酷ければ呼吸困難に陥ってしまう場合もあります。特にお年寄りに見られる症状で、唾液量が減ったり、飲み込む力が衰えたりすることで起きてしまいます。防ぐためには、大きなものは食べないこと。よく噛むこと。飲みものを用意しておくことなどです。せっかくの美味しいお餅で、苦しい思いをしませんように」
お餅は子供から大人まで幅広く好まれる食べものです。焼いてシンプルに食べるも良し、アレンジするも良し。いろんな楽しみ方ができます。いっぱい食べて、春に向けてパワーを蓄えておきましょう。
【取材協力】大木アンヌ
ルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。