次のようなケースでは、このような“対応のルール”があるという。
リフォーム業を営む中小企業に、改装工事のクレームの電話があった。クレーム主は60代の施主で、「職人がいつもサボッている」「本当に期日通りにリフォームは終わるのか」「掃除は適当」という職人への不満が主だった。
このクレームへの“対応のルール”には4つのステップがあるという。
第1に、“お客様が自分を頼って電話をして来てくれている”ことを意識し、組織の代表者としての対応を心がけることが大切だとのことだ。
具体的な対応としては、まず最低でも3分間程度はお客様のクレームに対して、「弊社では」など企業側の意見を挟まずに、「おっしゃる通りです」などの相づちを打つ。その後、クレーム内容から「お客様は何を望んでいるか、どう行動すれば納得してもらえるのか」といった情報を聞き出すことがポイントとされている。
前述のケースの場合、相づちを打ちながらお客様の話を聞くうちに職人に対して、「15時に出した缶コーヒーを飲まない」「笑顔の対応が嘘臭い」といった不信感があることが聞き出せたそうだ。
次に、お客様の気持ちに理解を示す事を心がけるように研修では指導されている。苦情を訴える相手の心情に理解を示し、誠意のある謝罪をする事で、話が円滑に進みやすくなるという。
前述のケースで考えると、「職人がサボッている」「期日に間に合うか」「掃除が不十分」の3つのクレームが寄せられている。それを受けて、「私どもの従業員がご迷惑おかけしてすみません。内容とお気持ちは理解致しました。不快な思いと不十分な清掃、また期日のご心配をおかけ致しまして、大変申し訳ありません」などと、お客様の気持ちに理解を示し、素直に謝罪するのが正解だとされている。
3つ目の段階では、お客様の認識と企業側の認識にはズレがあることをあらかじめ肝に銘じておき、うまくすり合わせることがポイントだという。
このケースでは、会社で評価の高い職人を派遣していたため、現場監督と共に謝罪対応するのが定番だが、お客様のクレーム内容から職人個人に不満があると推測した。そこで、職人をお客様のもとへ謝罪に向かわせることを敢えてやめたそうだ。
最終的な対応は、謝るだけではなく“具体的な解決策”を提示することだという。
前述のケースの場合、現場監督にクレームの内容とお客様のクレームから得たお客様が職人への不信感を持っているという具体例を伝えた。その上でお客様に直接お詫びし、職人を代える事を提案。お客様は提案を受け入れて、クレーム解決となったそうだ。
クレームが一大事になってしまう事案の多くは、クレームそのものよりも、二次的な対応が要因となっていることの方が多いとの調査結果もある。
クレームを受けた際は、何よりもお客様に「受け入れられた」と感じてもらうことが大切だと言う。お客様の要望を受け入れられない場合は、「誠に申し訳ありませんが」などのフレーズを使用すると効果的なようだ。逆に企業規則などの“説明”や、“言い訳”"は、お客様の感情を逆なでするNGな対応とされている。
これは「カスタマーサービス」におけるクレームだけではなく、夫婦ゲンカなど日常生活のトラブルでも使えるテクニックだという。問題解決のヒントとして、頭の片隅にでも残しておいてはいかがだろうか。