同調査は、学生の頃からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた20代をデジタル世代と定義した。
仕事をする目的としては、管理職、デジタル世代ともに「収入を得るため」が90%以上と、圧倒的な割合でトップ。しかし、「やりがいや達成感を得るため」「仕事を通じて社会へ貢献するため」「自分の才能や能力を高め、発揮するため」「社会的な成功を得るため」といった項目をデジタル世代が選択した割合は低く、管理職の回答と比べるとそれぞれ10%以上の開きがあった。デジタル世代は管理職と比べて、仕事をする目的にこのような意欲はないのだろうか。管理職数名に話を聞いた。
「若い世代は仕事に対してやりがいを感じていないのかな、とは思う。クライアントに『ありがとう』と感謝されるような小さいことでもいいから、まずは仕事のやりがいを見つけてほしい」
「ただ単に仕事があればいいという若手社員が多いように感じる。何事も失敗を恐れずに挑戦してくれたら、失敗しても尻ぬぐいはするのにと思う」
「自分の業種は全体的に給料が低い。だからこそ『自分は出世して高い給料を得たい』という気概を持って働いてほしいが、そういう新入社員は少ない」
このように、調査結果を裏付ける意見が出てきた。また、同調査で理想的な上司像を調査したところ、「仕事のミスがあっても叱らない」を選択したデジタル世代は36.8%。管理職自身が20代だった頃の理想的だと思っていた上司像を調査したところ、同じ項目を選択した人は23.8%で、デジタル世代のほうが「上司に叱られたくない」と考える傾向が強いことが分かる。この件に関しても、管理職に話を聞いた。
「仕事で叱るというか、こういうようにしたほうがいいよ、というアドバイスをしただけでも今の子はすぐに落ち込むから、扱いに困ってしまう」
「何回も同じ失敗をしても、最初のうちはある程度は仕方がないと思うが、中にはメモもとらない人間がいることには驚いた。自分の若い頃だったらあり得ない」
「叱られて成長する、という気持ちが若い世代にはないように思う。自分が新入社員だった頃、上司に叱られたらそれをバネに仕事を覚えて、いつか出世してやると思ったものだが。自分が管理職になった今は、厳しくしてくれた上司に感謝している」
このように、いわば「時代は変わった」といった意見が続出した。同調査の仕事・職場に対する満足度については、総じて管理職のほうがデジタル世代よりも高く、「総合的にみた現在の仕事への満足度」がデジタル世代では47.2%、管理職が57.8%となった。管理職という立場になることができた人間は、仕事に対する熱意や満足度が高い傾向があるのかもしれない。
ただ、管理職の立場の人間は、今では成功しているからこそ、“自分はこれだけ努力をしてきた”と、自分の若い頃を美化している傾向もあるのかもしれない。デジタル世代と管理職が協力し合って、これからの社会を作っていくことが求められているのだろう。
文/浅利 水奈