4月26日の千葉ロッテ戦も落とし、勝率は2割7分3厘。目下、パ・リーグには4割3厘の近藤健介(日本ハム)以下、7人の3割バッターがいる。この打率みたいな数値の勝率のままでは、東北楽天ゴールデンイーグルスは“黒歴史”を繰り返すことにもなりかねない。
※ ※
〇田尾安志監督 1年
〇マーティ・ブラウン監督 1年
〇佐藤義則監督代行 36日
〇大久保博元監督代行 23日
〇大久保博元監督 1年
※ ※
05年の球界参入からまだ、14年目。その間、監督代行を含めれば、8人も指揮官が交代した球団ということになる。
「プロ野球は結果が全て。経営陣、フロントが指揮官を交代したほうが良いと判断すれば、たとえ契約任期の途中でも『解任』となる世界です。とはいえ、楽天球団はちょっと多すぎる。ドライというか、ビジネスライクに徹しているというか…」(ベテラン記者)
梨田昌孝監督(64)は就任3年目、昨年10月に「1年・推定年俸1億円」で契約を延長しているが、このままだとシーズン途中での解雇となる可能性も高い。
「劣勢にまわったとき、梨田監督の長所は短所になってしまう…」(プロ野球解説者)
近鉄、日本ハム時代の「監督・梨田」は、どちらかといえば、自分から仕掛けることはあまりしなかった。両球団合わせて9年、2度のリーグ優勝を果たしているが、その采配は「冒険はしない。若手を思い切って使うよりも、実績のあるベテランを登用。失敗したときのリスクを常に考えている」というタイプだった。
「レギュラーの野手、先発ローテーション入りした投手は、多少の不振に陥ってもスタメンから外されません。だから、選手たちはその信頼に応えようと奮起するんですが、劣勢にまわったとき、自分から仕掛けることをしないから、ズルズルと負けが込んでしまい…」(前出・同)
まさに、今の楽天がその状況だ。
クローザー・松井裕樹の救援失敗が続いても、使い続けている。松井が復調の兆しを見せれば、梨田采配は「吉」となる。しかし、これ以上の負け試合が続けば、優勝の可能性も早々に消えてしまう。
こんな見方もある。「観客の反応次第」というのだ。
「楽天球団は昨季、黒字となりました。13年のうちで黒字になったシーズンは4回だけ。球団の最大収支源はチケット収入なので、お客の入りが悪くなれば、決断するかもしれませんね」(地元関係者)
もっとも、この意見を球団OBにぶつけてみると、対照的な意見が聞かれた。
「楽天のファンは『我慢強い』というか、どんなに負けが込んでも『この次は頑張って!』と、常に好意的なんです。勝てばもちろんですが、負けが込むと声援のほうが多くなる。ファンは期待を込め、梨田監督に好意的だと思いますよ」
“前段階”として、打撃担当のコーチにメスが入るのではないだろうか。
昨季前半の快進撃の勝因は、ウィラー、ペゲーロ、アマダーの長打タイプの外国人選手を3人並べた打線の破壊力によるもの。しかし、今年はチーム打率2割1分8厘で12球団ワースト。藤平、池田らの若手投手が育ってきただけに「投高打低」の現状を打破すれば、浮上の兆しは見えてくるだろう。
「打撃担当のコーチを、一軍と二軍の配置換えする案も十分に考えられます。それでもダメなら、梨田監督がペナント低迷の責任を負うことになるでしょう。近年、ペナントレース早々に低迷したチームが、監督を交流戦途中で休養させる傾向もあります」(前出・ベテラン記者)
若手投手の底上げは佐藤コーチの手腕によるもの。ホークスから同コーチを呼び戻したのは、2年目の藤平を一人前に育てるためだという。同コーチは、かつて田中将大(現ヤンキース)を育て上げた名伯楽だ。
「梨田監督はダジャレを言い、周囲をリラックスさせているのは有名です。その明るい指揮官が無口になってきた」(取材記者)
佐藤コーチは監督代行の経験者でもある。“一人負け”の楽天が決断するかもしれない。