結果的に4番打者を交換する形となった両球団の損得勘定はいかがなものか。ラミレスは年俸3億5000万円プラス出来高5000万円(推定)で2年契約を結んだ。一方の村田は巨人から2年6億円前後(推定)の条件提示を受けたといわれる。単純に2人の年俸を比較すれば、横浜DeNAの負担が大きくなったわけだが、現実はそんな簡単なものではない。
今季年俸2億2000万円プラス出来高(推定)といわれる村田の年俸はAランク。従って、巨人は横浜DeNAに金銭または人的補償をする必要がある。金銭のみの場合は移籍選手の年俸80%、人的補償の場合は選手1人にプラスして移籍選手の年俸50%を支払わなければならないのだ。横浜DeNAは人的補償を希望するもようで、選手1人と村田の年俸50%相当の1億1000万円程度が懐に入る。この補償で横浜DeNAは村田とラミレスの年俸差を、ほぼ埋め合わせることができるのだ。
損得となれば、年俸面だけではない。ヤクルト時代から明るいキャラクターとファンサービスの良さで人気が高いラミレスの加入は、不人気球団の横浜DeNAにとっては、集客面で大きなプラス。片や、村田の入団で東京ドームの観客動員が増加するとはあまり思えない。
むろん、いちばん大事なのはグラウンドでの成績であり、年齢的な衰えが見えるラミレスには不安材料も覗く。とはいえ、村田も09年以降は、4番に似つかわしくない不本意な成績が続いている。どちらの球団が得をしたのか、その真の結果は1年後に出ていることだろう。
(落合一郎)