巨人のペナントレースの敗因はいくつかあるが、フロントは『外国人選手の不振』を重く見ており、CS敗退の翌11月2日には、早くもアレックス・ラミレス(37)の退団が“決定事項”として報じられた。この一方に敏感な対応を見せたのが、阪神、横浜、楽天、ソフトバンクである。
「ラミレスに興味を示した各球団から必ず聞こえてくるのは、一塁コンバートです。守備に負担の少ない一塁守備に専念させれば、復調すると…。実際、メジャー時代に一塁守備の経験がありましたからね」(球界関係者)
在京球団、指名打者制のパ・リーグなどがラミレスの移籍希望だという。しかし、1日のCS第3戦、取材陣は奇妙な光景を目の当たりにした。ラミレスは大村三郎(35)と顔を近づけ、ヒソヒソ話を重ねていたのだ。これまで、2人が親密だとは聞いたことがない。
大村−千葉ロッテ帰還−ラミレスが千葉ロッテに売り込み…。そんな想像を掻き立てられた取材陣も少なくなかった。
「千葉ロッテもある程度の補強資金を用意しているのは間違いありません。大村を巨人から帰還させるにしても、タダと言うわけにはいきませんから(補填金等で)」(前出・同)
ソフトバンクの王貞治・球団会長のラミレスの打撃センスを高く評価しているのは、有名な話。打撃力のアップを狙う楽天も『ポスト山崎』として照準を合わせてくるかもしれない。ラミレスの巨人退団がかねてから噂されていた。またそれと同時に、ソフトバンクなど前述の球団が興味を示している旨も同時に伝えられてきたが、千葉ロッテの名前は出て来なかった。
「阪神が本気モードに入っています。日本在籍10年を越え、日本人扱いできるのが大きい」(前出・球界関係者)
ラミレス争奪戦に千葉ロッテが参戦すれば、阪神との遺恨劇にも発展するだろう。
今春、両球団は小林宏(33)のFA補償を巡り、“衝突”している。阪神側は「金銭補償を求めてくる」と読んでいたが、千葉ロッテは高濱卓也(22)を指名。しかも、キャンプインしてから偵察部員を派遣し、阪神ナインは「誰が引き抜かれるんだ!?」と動揺させられた。それだけではない。現在進行形の話として、阪神は選手会長・鳥谷敬(30)のFA慰留に必死だが、その背後に千葉ロッテの影もチラついている…。
「鳥谷の推定年俸は2億6000万円ですが、慰留させるには昇給と複数年契約が必須で、千葉ロッテは年俸3億円強の軍資金を用意しているとも…」(前出・同)
両球団ともチーム総年俸を緊縮する方向だが、千葉ロッテは推定年俸1億5000万円だった金泰均を退団させており、主力選手のほとんどが成績を落としている。よって、「ある程度の余裕」が生まれた。
ラミレスは2日、関西大学の特別講義で教壇に立ち、好きな球場の1つに甲子園を挙げたが…。大村との急接近は両球団の遺恨も深めたようである。