ところで皆さんは、太陽系内で肉眼で見ることができる星は、オリオン座のような恒星ではなく、地球の衛星である月や、金星、火星といった惑星に限られていると思っておられるのではないだろうか。実は小惑星で唯一肉眼で見ることができる「ベスタ」が、21日に衝を迎える。「衝」とは太陽、地球、外惑星と並んだ位置関係のこと。ベスタが太陽の反対側にくるので、観望好機となる。6等級まで明るくなるので、光源の少ない暗い場所なら肉眼で見える。
実は、一番大きな小惑星はベスタではなく、「ケレス」である。ベスタの直径530kmに対して、ケレスの直径は、952km。最も明るくなっても7等級で、肉眼では見ることができない。なぜなのか? それは、ベスタのアルベドが高いからだ。「アルベド」というのは、惑星や衛星が太陽光を反射する比率のこと。ベスタの42%に対して、ケレスは11%しかない。距離が違いすぎて参考にはならないだろうが、月のアルベドは7%でしかない。
この小惑星ベスタの名は、ローマ神話の女神「ウェスタ」に由来する。ウェスタはかまどの神であり、家庭の守護神なので、最近家庭不和に悩んでいる方は、夫婦でドライブがてらベスタ観測はいかがだろうか? しし座の首辺り、2等星の近くに見えるはず。独身の方は、プロポーズに使えるのでは? ご健闘を祈る。
(七海かりん 山口敏太郎事務所)
山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
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