門の外では、長髪、武田鉄也のマネの三又似の週刊誌記者が、長州力のように苦みばしった顔で行ったり来たり…。
前者が50代前半、後の記者が30代前半、といったところだろうか、両者ともオーラがある。部下がムダにキレイだから、男ぶりも上がるというのもあるかもしれないが。
裏門の駐車場では、若い集団が我が物顔でダベりながら張っている。一見頭が悪そうに見えたが、四大紙の新聞記者だった。
外には、もちろんテレビクルーもたくさんいる。太って脂ぎったテレビディレクターが、我が物顔にカメラマンのイケメン君を、こきつかっている。
夕刊紙の記者氏と話しているうち、ふと、わが意を得たり、という表情に変わる氏…会見を待たずにあっという間に社にご帰還だ。(夕刻、その内容は、周辺取材とともに早速記事になっていた)
彼らの狙っているターゲットは、小向美奈子。
閉廷後まもなく、黒いスーツ姿で正門前に登場した。報道陣がもみ合い、テレビクルーから怒号が飛ぶ。
涙を流しながら、報道陣の質問に淡々と答える小向。面影こそあまり残っていないが、やっぱりべらぼうにキレイ。(笑)
2000年のデビューの彼女は、アイドルらしいオーラのあるアイドルばかりがデビューしていた最後の世代のひとり、といったところなのだろう。
後日。出てきた記事の中に、
『小向 巨乳は健在だった!』
というものが。
ひょっとして、最初のノリの軽いアルマーニオジサンか? なるほど、一流の人間は、目のつけどころが違う! 傍聴券が外れて外からは声も聞こえないのに、小窓をそのために覗いていたなんて…妄想は広がる。
ただし実際、シリアスな現場にいて平気でこれだけハズした発想をするのは、容易なことではない。常人はどうしてもその雰囲気に飲まれて、深刻だけど詰まらない記事や、取材対象に同情的な記事を書いてしまうからである。
一流の記者にしかこんなおもろい記事は書けない(三文ライターにはなかなか真似出来ず。)、というのも現実だ。
というわけで、よくある現場の光景、はこんなところ。マス○ミは嫌いな人種だ、という皆さん、食欲のなくなるようなこと書いてごめんなさい。
写真=2009年、ボディーガード役の関係者に抱きかかえられて劇場入りする小向美奈子。