テーマはディーノが藤田社長の唇を奪うことができるか?
DDTの所属レスラーも、ディーノ軍と藤田社長を守る高木三四郎軍に分かれて、基本的にはディーノ軍が勝てば社長室に近づく階のカードキーが渡されるというルールのもと、全9試合(変則マッチも含む)が行われた。
ディーノは「地上波じゃ出来ないことがこれならできると思った」
とコメントしていたが、“ゲイレスラー”男色ディーノの存在自体が、現在の地上波では微妙なラインというのは、今年お台場で起こった騒動を見ても想像に難くない。しかし、男色ディーノという選手は、しっかりと見てもらえれば“生き様”を感じる素晴らしい選手。実際、今回の路上プロレスでは「“ゲイレスラー”男色ディーノの生き様を生中継で見せたい」とも語っている。
午後5時30分。番組は4階からスタート。5階フロアに突入したと同時に、サイバーエージェント(CA)の社員が騒動とは関係なく、PC業務などを続ける中、第1試合のゴングが鳴り、ディーノ軍は順調に勝ち進むが、9階で佐々木大輔&遠藤哲哉に敗退。しかし、佐々木組が高木に3万円で買収されていたことを知ると、ディーノ軍はその場にいたCA社の社員からのカンパや解説を務めていた豊本明長(東京03)の財布を強奪し、佐々木から10階のカードキーを奪取。10階では相撲出身レスラーを退けるが、実は藤田社長が3階の社長室にいることが判明。ディーノ軍は10階から3階まで階段で降りる羽目に。
3階フロアに突入したディーノは、社長秘書からあっさりと社長室のカードキーを奪い取り、マジックミラーで中が見えなくなっている社長室へ。奥の椅子には藤田社長が座っていた。そしてディーノがリップロックで藤田社長の唇を奪おうとした瞬間、MCとしてディーノ側に付いていたはずの斉藤慎二(ジャングルポケット)が、ディーノ軍を急襲。まさかの裏切り劇に動揺を隠せないディーノ軍。ここに高木が現れ、催眠ガスを噴射。藤田社長に雇われていたという斉藤は、高木とともに救出に成功。ディーノたちは深い眠りについてしまった。
ここでディーノたちを救ったのが、KO-D無差別級王者である竹下幸之介、彰人、石井慧介の3選手。3人は寝ているディーノ軍を13階まで運び出して叩き起こし、再び藤田社長の唇を奪うべく新たな闘いに挑むため結束する。13階には坂口征夫&タノムサク鳥羽という難敵が立ちはだかったが、竹下の奮闘により坂口からクリスマスプレゼントとして、12階のカードキーを渡される。12階に待ち受けていたのは、デスマッチのカリスマファイター葛西純(FREEDOMS)。デスマッチファイターにはデスマッチファイターを…。ここでディーノの味方として、木高イサミ(プロレスリングBASARA)が彗星の如く現れ、葛西 対 イサミというドリームマッチが突如実現。2人はPCのキーボードで叩き合い、テーブルの上でも容赦なく攻撃をし合って、CA社の備品を破壊しまくった。グループ会社の人間たちが、親会社の本社を破壊して行くというカオスな状況の中、2人の闘いは決着がつかず両者KO。瀕死のイサミから11階のカードキーを託されたディーノは泣きながら10階へ。
待ち受けていた高木は「大物を用意していると言っただろ!」と叫ぶと、元新日本プロレスの田中ケロリングアナウンサーが登場し、往年の名調子に乗せて、WRESTLE-1の武藤敬司と黒潮“イケメン”二郎が入場。これには11階フロアで業務に励んでいたCA社の社員も大喜び。田中リングアナが選手をコールする中、メインイベントとして豪華な6人タッグマッチが実現した。竹下とイケメンのエース対決など注目の顔合わせも多いカード。中でも路上プロレス参戦は初めてという武藤の存在感は際立っていた。竹下にドラゴンスクリューを決めると、すかさず足4の字固めへ。一連のムーブをオフィスでも違和感なく決めてしまうのはさすがは武藤敬司である。しかし、ディーノのリップロックで唇を奪われてから形勢が逆転。最後は真・男色ドライバーからの漢固めで、ディーノが高木からスリーカウントを奪取。高木軍の制止をディーノ軍が全力で止めて、ディーノは泣きながら再び3階の社長室へ。
しかし、そこにいたのは斉藤慎二。斉藤は憎々しい表情で高笑いをしながら、「(藤田社長は)もう帰ったよ!オマエの計画は無駄だったんだよ!」と既に藤田社長が帰宅したことをディーノに告げる。するとディーノは…
「確かに無駄なことかもしれないわ。多くの人の前で、男の唇を奪う私のファイトスタイルに批判も多いわ。これをやってもいいのか、私だって悩むことがある。でも、そういう姿を見せて笑ってもらうのが、“ゲイレスラー”男色ディーノの務めなの。ゲイであることを笑ってほしいんじゃないわ。ゲイである私の人生を見せて、見ている人に楽しんでほしいのよ。こんなの今の地上波じゃ流せないわ。だから私、DDTがCAグループに編入されてチャンスだと思ったの。私は私の生き様を見せつけるのよ。私にとっては無駄なことじゃない」
と熱弁。続けて斉藤に「私の生き様をあんたに見せつける」と言うと、斉藤にリップロックを仕掛けると見せて、社長室を去っていった。入れ替わるように高木が社長室に入ると…。
「ヤツはとんでもないものを奪っていきました。あなたと視聴者の心です」
これに言葉を失った斉藤は「ちょっと!DDT!これからも楽しみだ。ハーイ!」と某アニメを連想させるエンディングでエンドロールが流され、次回は新宿で再び藤田社長の唇を奪う続編が放送される予告がされた。
DDTがCAグループに入ってから、Abema TVで後楽園ホール大会の生中継がスタートしているが、他にどんなオリジナルコンテンツを配信するのか注目されていた。路上プロレスは今年の6月に、高木が鈴木みのるを相手に東京ドームでノーピープルマッチを実現させており、親会社の社屋をグループ会社が破壊して行くという発想はDDTならでは。そこに地上波では実現不可能なエッセンスを男色ディーノを中心に散りばめたセンスは、文化系プロレスDDTとIT企業のCA社が組んだからこそ生まれたコンテンツといっていいだろう。視聴数も10万と高い数字をはじき出した。
先日もAbema TV『72時間ホンネテレビ』の企画で、DDTグループのガンバレ☆プロレスで、草なぎ剛がディーノとのタッグでプロレスデビューを果たし、セコンドには稲垣吾郎と香取慎吾が付き話題になったばかり。今後も地上波では見られない刺激的なエンターテインメントプロレスを見せてもらいたい。
【大会名】DDTvsサイバーエージェント路上プロレス−男色死亡遊戯−
【日時】2017年12月21日
【会場】東京・株式会社サイバーエージェント本社内
【視聴数】10万視聴
▼オープニングマッチ 時間無制限一本勝負
大石真翔&勝俣瞬馬&○MAO vs 高木三四郎&大鷲透&上野勇希●
5分52秒 横入り式エビ固め
▼第二試合 時間無制限一本勝負
男色ディーノ&○才木玲佳 vs アジャ・コング&伊橋剛太●
4分35秒 体固め
※シャイニング・ウィザード
▼第三試合 騒音防止デスマッチ 時間無制限一本勝負
●スーパー・ササダンゴ・マシン vs 村上和成○
7分39秒 TKO勝ち
※水をかけられ絶叫→3ロストポイント
▼第四試合 学力テスト 時間無制限一本勝負
○才木玲佳&○竜剛馬 vs 赤井沙希●&山下実優●
15分30秒 全問正解
※ポイント400-0で才木組。
▼第五試合 時間無制限一本勝負
●大石真翔&●MAO vs 佐々木大輔&遠藤哲哉○
5分24秒 体固め
※シューティングスター・プレス
▼第六試合 時間無制限一本勝負
○男色ディーノ&大家健 vs 樋口和貞●&星誕期
1分47秒 漢固め
※男色ドライバー
▼第七試合 時間無制限一本勝負
○竹下幸之介&彰人 vs 坂口征夫&タノムサク鳥羽●
7分0秒 体固め
※垂直落下式ブレーンバスター・オン・ザ・デスク
▼セミファイナル ハードコアマッチ 時間無制限一本勝負
▲木高イサミ vs 葛西純▲
5分51秒 両者KO
▼メインイベント 時間無制限一本勝負
○男色ディーノ&竹下幸之介&石井慧介 vs 武藤敬司&高木三四郎●&黒潮“イケメン”二郎
9分58秒 漢固め
※真・男色ドライバー
文・どら増田
写真提供・©︎DDTプロレスリング