都選挙管理委員会によると、後藤氏の最終確定票数は3592票。次点の5位入着候補(1万7183票)からは大きく水を開けられたが、最下位候補が689票だったことを考えれば大健闘といっていい。後藤氏は今後について「全力で走ってきたので今は考えられない」と休みをとってじっくり活動方針を決めるという。そんな後藤氏に熱視線を注ぐのはAV業界関係者。
「あくまで都議を目指すとしても次の選挙は4年後。もう一皮むけるためにAVに出演してはどうか? 今回の選挙戦で顔も名前も売れたわけだし、すぐに脱げば話題性バツグンですよ。業界の人間は選挙期間中から興味深々だったから、オファーが殺到するはず」
大小さまざまなレーベルが乱立する現在のAV業界は「もはや、若くてかわいくておっぱいが大きいぐらいじゃヒットしない」(同関係者)混迷期という。似たようなAV女優に消費者は食傷ぎみ。知名度ある芸能人だけを脱がせた革新的メーカー「MUTEKI」は、そんな時代に売れる作品の方向性を示した。
前出の関係者は「後藤さんは間違いなく有名になった。キレイな顔立ちだから“売り方”もいろいろ考えられる。男女の絡みなしでバストトップを出しただけでもそこそこ売れるだろうし、選挙戦に結びつけたストーリーで内容がハードならば大ヒット間違いなし」と太鼓判を押す。
後藤氏は選挙期間中、さまざまな遊説スタイルで話題を集めた。純粋無所属候補であることを示す白いミニスカスーツを中心に、しとやかな浴衣姿、ピッチピチのジョギングスタイルなど“コスプレ選挙戦”で有権者の関心を誘った。大胆不敵なパンチラは「必ず投票するし、当選したら都議会を傍聴しに行く」(20代男性)と無関心層の政治参加を促した。
投票率は、総選挙の前哨戦として注目されたこともあって54.49%と急上昇。前回2005年の43.99%を大きく上回った。青森県八戸市の“美人すぎる市議”藤川優里氏に続く、“エロすぎる都議”誕生はならなかったものの、後藤氏なりのやり方で地方行政に光を当てたことは確かだ。
そもそも新宿区選挙区は強い候補が多かった。最後の1議席を自民党候補同士で争ったほど。組織戦を挑めず泡沫候補扱いされながら「供託金60万円の没収を回避する票を集めたのは立派といえば立派」(都議会関係者)という声も聞かれた。
後藤氏が次期都議選を含め政界進出にこだわる場合、バカにならない選挙費用を稼ぐ必要が出てくる。前出のAV業界関係者は「AV女優は決して後ろめたい職業ではない。その社会的地位を向上させる早道のひとつがAV出身の政治家誕生ではないか? 脱いで稼いだ金で政治を志すのは清いことだと思う」ときっぱり。
後藤氏は今回の都議選について「準備期間が10日しかなかった」と話しており、リベンジするには十分な態勢づくりが必要になる。歌舞伎町再生や駅前保育施設の充実などを訴えて獲得した3592票の思いにも応えたいところだ。AV業界に限らず、今後の動向が注目される。
ごとう・まい 東京都出身。1992年、クラリオンガール準グランプリ受賞をきっかけに芸能界入り。レースクイーンやNHK教育番組の司会、レポーター、Vシネマ女優など幅広いジャンルで活躍。「パイパン女王」の異名を持ち、イメージDVD「千夜一夜の夢」がネット通販で大ヒット。しかし同作での性器露出シーンが問題視され、今年4月、警視庁にわいせつ図画販売ほう助の疑いで逮捕(不起訴)された。絡みなしの作品で女優まで逮捕されるのは異例のことで、過激さを増すイメージDVD業界に衝撃が走った。
新宿区得票数(定数4)
当選
猪爪まさみ(53=民主) 4万2054票
吉倉 正美(58=公明) 2万1389票
大山とも子(53=共産) 2万0870票
吉住 健一(37=自民) 1万8890票
落選
秋田 一郎(43=自民) 1万7183票
後藤 麻衣(36=無所属) 3592票
鈴木 亮介(31=無所属) 3277票
櫛田 幸輔(29=諸派) 689票