同ジムで唯一の女性プロボクサーの四か所。12日の後楽園大会では、初代OPBF女子同級王者の座を懸け、OA・ゴーキャットジム(同級3位)とのタイトルマッチに臨む。
元々はアマチュア出身。2003年から07年まで全日本女子アマチュアを5連覇している。五輪出場を目指していたが、当時、女子ボクシングは、採用されていなかった。現役続行か…。悩んでいる時にプロが認可。「アマチュアをこのままやめちゃうのも不完全燃焼。プロで再出発」を誓った。
プロに転向し、ファンの大切さを実感。「ファンの皆さんはお金を払って見に来てるんで。人を感動させることって頻ぱんにできることじゃないので、試合終わって『感動した』って言ってくれるとうれしいですね」と意識は変化した。
それだけに「スピードだったり、スタミナだったり、瞬発力だったり、技術すべてにおいてレベルの高いボクサー。現在の女性のボクシングレベルを超えるボクシング」と自分に求める理想もかなり高い。
そんな中プロ転向後、つかんだビックチャンス。勝利すればジムから2人目のチャンピオン誕生となる。「タイトルマッチって一生に一度経験できればいい。このチャンスを無駄にしたくない。何が何でも勝ちます」と意気込む。
前回減量で苦しんだ“教訓”を生かし、3カ月前から独学で調整を開始。食生活を見直し、野菜を中心にタンパク質を摂取し、昼夜食べ過ぎないよう心がけてきた。
「前回は重さだけ落としていた。今回は筋肉を落とさず、余分な脂肪を少しずつ落としていってる。ウエートはガクっと減らないんですけど、今は全然バテないで動ける。食事の大切さを実感しました」と順調に調整は進んでいる。
タイトルマッチの5日後には30代に突入する。「最高の誕生日プレゼントにしたいですね」と語る四ヶ所。20代最後の試合を最高の形で締めくくる。
清田は現役の日本人ボクサーの中で、一番重い階級のベルトを巻く男。そして同ジム唯一の現役王者だ。
本来は、ひとつ下のミドル級の選手。だが、同級ではタイトル挑戦のチャンスが巡ってこない。そのため、東洋のSミドルにシフトチェンジして千載一遇のチャンスをものにした。
清田が属するSミドル級は、過去に日本人が世界王者になった例が一度もない、前人未到の領域である。それだけに「目標は世界チャンピオンですよ。30歳までには何とかと思っています。」と偉業達成の青写真を描いている。
ボクサーになるきっかけは就職活動の失敗だった。17歳までは北の大地でサッカーに明け暮れる毎日。ボクシングは、当時放送していたテレビ番組がきっかけで、友人に誘われ何となくジムに通ってみた程度だった。将来はその右足を生かしサッカーで生計を立てるつもりでいたが、その道は「素質なし」といわれあえなくとん挫。また自衛隊を目指したものの落選してしまった。
ここで清田は一念発起した。周囲からのススメもあって、釧路の高校卒業後にK-1ファイターを目指して上京。空港で見送られる際、父親から「好きな車を買ってやっから何とか残れないのか」と諭されたが、「ここが勝負」と誘惑を振り切った。
上京した清田は地元ジムの会長の紹介で、フラッシュ赤羽ジムを紹介してもらった。キックを目指している清田は入門する予定ではなかったが、見よう見マネでボクシングをやっているうちにその魅力にとりつかれていった。
その後、メキメキと頭角を現し、新人王を獲得。OPBFのチャンピオンにまで上り詰めた。
12日には、後楽園でのV3戦が待っている。「全部、守ると言うよりももう一回取りに行く。挑戦者みたいな気持ちで」。今後、世界を目指すためにはこんなところでつまづいてはいられない。
<プロフィール>
四ヶ所麻美(しかしょあさみ)1979年10月17日生まれ。29歳。東京都板橋区出身。家族構成…祖父母、母、父、妹。全日本女子アマ5連覇。3戦2勝(1KO)1敗。WBCフライ級11位。好きな男性のタイプ…男らしい人。自分より強い人。肉食系。気持ちがナヨナヨした人はNG。座右の銘「成せばなる」
清田祐三(きよたゆうぞう)1983年10月6日生まれ。26歳。北海道釧路市出身。180センチ、85キロ。戦績20戦17勝(15KO)2敗1分。2003年新人王、OPBF東洋太平洋スーパーミドル級王者。好きな女のコのタイプ…色白で美巨乳なコ(C〜F)