新生・与田中日に関するニュースの主役は、ドラフト1位の根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)だ。走攻守全てにおいて一級品、4球団が1位入札した。高卒開幕スタメンを果たせば、88年の立浪和義氏以来となる。
そんな中日ファン以外も注目する黄金ルーキーのせいで、「投手陣の問題」を見落としていた。2019シーズン、39歳を迎える松坂大輔に“開幕投手”の可能性が出てきたのだ。
「いちおう、昨季のチームの勝ち頭ですからね…」(名古屋在住記者)
「勝ち頭」について、説明しなければならない。松坂の昨季の勝ち星は「6」。チーム2位タイだった。しかし、チームトップの13勝を挙げたガルシアが残留交渉でゴネてしまい、退団。矢野阪神に移籍したことで、松坂は同じく6勝を挙げたプロ2年目(昨季)の左腕・笠原祥太郎と並んでトップとなったのだ。
「昨季後半に先発ローテーション入りした高卒2年目の藤嶋、15年ドラフト1位の小笠原、13年のドライチ・鈴木翔などの若手もいます。しかし、小笠原、鈴木翔は故障からの復帰を目指す途中。無理をさせたくはありません」(前出・同)
そういったチーム状況を考えると、経験豊富な松坂に『開幕投手』の大役が託される可能性は高い。まして、松坂が先発した試合は観客数も伸びており、中日経営陣もその人気を再認識させられたほど。松坂がNPBで開幕投手を務めることになれば、05年以来となる。松坂と根尾、新旧2枚看板が開幕ゲームで出揃えば、球場は満員御礼。中日以外のプロ野球ファンも注目するはずだ。
「いや、中日の開幕戦は敵地・横浜です。地元名古屋でのゲームは第2節の4月2日になるので、松坂は温存されるのではないか」(球界関係者)
相手チームの主催試合に協力する必要はない。しかし、開幕3連戦と第2節の対戦チームを見て、こう予想する声も聞かれた。
「開幕戦がDeNA、第2節が広島。松坂と同じく6勝の笠原は、うち3勝が広島から挙げたもの。笠原は『広島キラー』なので、第2節まで温存すべきは、松坂ではなく、笠原のほうです」(プロ野球解説者)
笠原をDeNA戦で使ってしまうのは、もったいない。その笠原の第2節までの温存論を主張する先のプロ野球解説者は、こうも語っていた。
「阪神に移籍した西勇輝なんですが、中日移籍を念頭に入れたFA宣言だったと聞いています。中日が方針を一転して『先発投手の外部補強は必要ない』と決め、水面下で断りを入れたようです。ということは、与田新監督が若手投手の底上げを確信しているのではないか」
ベテランの岩瀬仁紀投手が引退した。松坂は「投手陣のまとめ役」も務めなければならない。
そんな松坂が開幕戦で勝利すれば、中日投手陣も活気づくはずだ。
「現在、松坂の通算勝利数は170。200勝を達成したいのなら、19年シーズンで結果を出さないと、若手に先発枠を奪われてしまいます」(前出・同)
松坂も“開幕投手”を意識して調整を進めたほうが良さそうだ。根尾の開幕スタメンもあり得るだけに、中日の開幕戦は興味深いものになるだろう。(スポーツライター・飯山満)