9月から25人のベンチ枠が拡大されるが、それはあくまでも40人枠に入っていた上での話で、事実上、今季中のメジャー再昇格は絶望的となった。翌21日(同22日)、西岡は「メジャーで結果を残せず、すべてにおいて自分の力のなさを痛感した。しっかり受け止めたい。残り2週間で再び40人枠に入ることを目標に、一生懸命野球をすることには変わりない」と話した。
西岡はメジャー2年目の今季、開幕をマイナーで迎えた。5日(同6日)にメジャー昇格を果たしたが、出場わずか3試合。12打数無安打1打点2失策(当初3失策だったが、後日、公式記録が訂正される)の惨たんたる成績で、13日(同14日)にマイナーに逆戻りした。
それでも、降格後、17日(同18日)には5打数4安打、18日(同19日)には2号本塁打を放つなど、調子は上向きだっただけに、非情な宣告となった。
こうなると、気になるのは西岡の去就。西岡は3年契約(4年目は球団が選択権)を結んでおり、来季までツインズに拘束される。今季からGMに復帰したテリー・ライアン氏の西岡に対する評価は低く、来季も飼い殺しにされる可能性は十分。
西岡が残留を希望しないようなら、残された道はツインズとの契約に沿った年俸を保障する球団が現れて移籍するか、あるいは保障された年俸を捨ててでもリリースされるかだ。西岡の年俸は3年約925万ドルで、現在のレートだと年間約2億3500万円。西岡は離婚問題を抱えており、莫大な慰謝料や養育費を稼がなければならず、自ら高額な年俸を捨てるわけにもいかないだろう。米国内で、引き取り手が見つかればいいのだが、この2年の成績では、メジャー他球団からのオファーを期待するのは厳しい状況。
そんな折り、西岡にとっては明るい情報が飛び込んできた。阪神が獲得に向け、調査に着手したというのだ。今季、セ・リーグ5位に沈む阪神は、オフに大型補強をもくろんでいる。二遊間を守る平野恵一内野手(33)と鳥谷敬内野手(31)は、ともにFA権を取得しており、その動向は流動的。2人の内のどちらかが、FA移籍した場合、西岡は後釜としてうってつけの存在だ。
2人とも残留した際は、平野を二塁から外野に回し、鳥谷か西岡のどちらかに二塁を守らせれば丸く収まる。阪神の主力内野手の年俸は鳥谷=3億円(以下、金額は推定)、新井貴浩=2億5000万円プラス出来高、平野=1億9000万円で、西岡とのバランスも取れる。また、西岡は地元大阪の出身でもあり、阪神ファンも受け入れやすい環境にある。
阪神が獲得調査を始めたとの報に、西岡は「ここで一生懸命やる。日本球界は今のところは何も考えていない」と話したが、心中はまんざらでもないはず。来季もマイナーで干されるくらいなら、日本球界に復帰した方がましと考えるのも自然な流れ。現実的にはツインズとの契約がある以上、障害も多いが、そこは本人次第。今オフには阪神西岡が誕生しているかもしれない。
(落合一郎)