西岡は10年オフ、ポスティングシステム(入札制度)を利用して、ツインズに入団。落札額約533万ドル、3年契約約925万ドルの総額約1458万ドル(当時のレートで約12億円)で大型契約を結んだ。
しかし、遊撃のレギュラーとしてスタートした昨季は故障も多く、わずか68試合出場、打率.226、本塁打0、打点19、盗塁2と不本意な成績だった。地元メディアのミネソタポスト紙からは、「日本のゴールデングラブ賞は併殺プレーができず、肩も弱い。最低でもレギュラーを期待したが、補強は失敗だった。1450万ドルの投資を無駄にした」と酷評される始末。
2年目の今季は西岡を獲得したビル・スミスGMが解雇され、テリー・ライアン氏がGMに復帰したことで、取り巻く環境が変化。西岡はオープン戦中に不振のため、マイナーに降格した。
マイナーで西岡は主に二塁を守り、84試合に出場し、打率.245、本塁打1、打点24、盗塁6の成績を残しているが、数字を見てもらえれば分かる通り、決して打撃が評価されてのものではない。
ツインズでは打撃不振の三塁手のダニー・バレンシア内野手(27)がレッドソックスへトレードされることが決まり、内野手を補充する必要が出たため、西岡のたなぼた的昇格が決まった。
ロン・ガーデンハイアー監督は西岡を二塁手として起用する方針で、「マイナーでもよくやっていたし、メジャーでプレーを見る時がきた。エキサイティングな選手だ」と一定の評価をしている。
しかし、マイナーで打率.250すら打っていない西岡が、メジャーでどれほど打てるかには疑問符が付き、そこには“いばらの道”が待ち受けているといえよう。
ただ、西岡にはそれなりのチャンスも与えられそうな雰囲気もある。今季、主に二塁はアレクシー・カシーヤ内野手、遊撃はジェイミー・キャロル内野手、ブライアン・ドージャー内野手が起用されているが、いずれも打撃面では低調だ。なにより、内野手の枠が1つ空いたのは大きい。
むろん、堅実な守備を見せることが前提となるが、打撃面で結果を出せれば、レギュラー奪還の可能性もある。西岡はようやく12年シーズンのスタートラインに立った。
(落合一郎)