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屈辱! わずか4年で店名消滅… JR大阪・三越伊勢丹の因果応報

 大プロジェクト失敗の責任を、誰がどう取るのか明確にすべきではないか−−。
 三越伊勢丹が来年春、JR大阪駅ビルの百貨店『JR大阪三越伊勢丹』の改装に伴い、名称を『ルクア1100(イーレ)』にすると発表した。専門店の「専(千)」と百貨店の「百」を合わせ、ドイツ語で「あなたの」を意味する「イーレ」と語呂合わせした読み方である。今年の1月、業績不振を理由に売り場面積を4割まで縮小すると発表したことから“三越伊勢丹”の店名が消えるのではないかと噂されてきたとはいえ、いざ現実となるとショックは大きい。それを象徴するのが、冒頭のようなインターネットの書き込みだ。

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)が同店を鳴り物入りでオープンさせたのは2011年5月だった。それがあっけなく頓挫したのだから無理もない。
 「開業以来の赤字垂れ流しに危機感を募らせたのは、JR西日本だった」と関係者は打ち明ける。実はこの店舗、JR西が6割、三越伊勢丹HDが4割出資するジェイアール西日本伊勢丹(京都市)が運営する。改装を機に主導権を握ったのはJR西で、今年の1月には隣接する専門店ビルでJR西系の『ルクア』との一体運営を進めるとぶち上げた。

 実際、名称を改める『ルクア1100』にはデパート部分の縮小に代わって幅広い価格帯の専門店150店が出店し、隣接のルクアと併せて『ルクアosaka』と総称、日本のデパートを代表する三越伊勢丹の名は消滅する。
 「JR西は『向こうは違約金を払って大阪から全面撤退する勇気はない』と見抜いていた。だから『こちらの案に必ず乗るはず』と判断し、去年の春にいち早く百貨店の縮小を唱えて外堀を埋めたばかりか、三越伊勢丹サイドの了解を得ずに現在の計画に近い素案を大阪駅ビルのテナントに示したのです。これで『両社の関係がギクシャクするのではないか』と囁かれたのですが、そこまでは発展しなかった。要は売られたケンカを買うだけの余裕がなかったのです」(三越伊勢丹ウオッチャー)

 大阪・梅田のこの店舗はもともと三越が2005年に閉店した旧大阪店の後継店舗として出店を決めていた。それが伊勢丹と経営統合したことで主導権が伊勢丹に移った経緯がある。ウオッチャーが続ける。
 「若年層や婦人層をターゲットにする“ファッションの伊勢丹”が全面に出たことで旧三越大阪店のメーン顧客だった60歳前後のシニア層が敬遠した。消費不況の中、大丸、阪急などライバルとの生存競争が激化したことも響いた上、三越サイドには伊勢丹流を押し付けられたことへの反発もある。一方、プライド高い伊勢丹には『われわれの手法が悪いわけはない』の意識がある。その結末が屈辱この上ない、デパートの看板返上だったのです」

 一説によると、JR西は共同出資するJR西日本伊勢丹が債務超過に陥るなど、これまた業績不振に陥っていることから三越伊勢丹の“当事者”能力に疑問を抱いたことが、同社へ事実上の三行半を突き付けた発端とされる。確かに金融界にはメーンバンクを異にする三越(旧三井)と伊勢丹(旧三菱)が統合したこと自体が「そもそもミスマッチ」だったとの声が以前からくすぶっている。
 「バブル崩壊後の大不況で外資に乗っ取られる恐れが強まった三越は、苦渋の選択として伊勢丹を駆け込み寺にした。お陰で三越出身者のボーナスを含む年収は今でも給料換算で2カ月分ほど伊勢丹出身者よりも安い。そこへ伊勢丹がシャシャリ出た大阪での醜態とあっては三越側が『何さまのつもりだ』と不満を募らせるのも無理はありません」(経済記者)

 そんな矢先、三越サイドの神経を逆撫でするデータがある。9月の旗艦店売上高で銀座三越が前年同期比8.3%増、三越日本橋本店が0.8%増だったのに対し、伊勢丹新宿本店は1.75%のマイナス。10月の速報値でも三越銀座店は10%増と好調だったが、伊勢丹新宿本店は0.3%のマイナスだった。海外からの観光客が銀座界隈に集中する特殊事情はあるにせよ、これでは高給をむさぼる伊勢丹出身者への風当たりは強くなる。
 「怒りの矛先がHDの大西洋社長(伊勢丹出身)に向けられるようだと“家庭内別居”に発展しかねません。それでなくても彼は大阪での失態について総括していない。もしシャーシャーと居直るならば株主が黙っておらず、株主総会が見ものです」(市場関係者)

 消費増税の反動もあって同社は9月中間期の営業利益が前年同期比22.7%も落ち込んだ。窮余の策として経費削減による通期の増収目標を掲げるが、そのしわ寄せは取引先や社員に及ぶ。同社を襲った“大阪ショック”が本丸に飛び火するのは時間の問題だろう。

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