「パ・リーグでは楽天が沈んでいます。巨人よりも一日早く10敗目を喫し、12球団最速の汚名となりました。楽天はダメだと判断したら、動きが早いんです。球界に参入した05年のオフにいきなり初代監督を解任し、10年もブラウン監督を一年で解任させています。14年シーズンもそうでした。星野仙一監督(当時)が病気で休養すると、佐藤義則コーチを監督代行に立て、その1か月後には監督代行の代行を選びました。梨田監督もそういう球団の体質はわかっているはず」(プロ野球解説者)
だが、巨人はこうした指揮官の交代はできない。高橋由伸監督(43)を途中休養させることは、球団のプライドが許さないだろう。このままチーム上昇の兆しが見えなければ、コーチ人事の入れ換えか、緊急の補強トレードというシナリオが予想される。
「巨人の監督を任せられる人材は意外と少ないんです」(球界関係者)
生え抜き選手からしか監督を選ばない――。そんな言い方をするメディアも見られるが、それでは説明不足なのだ。たしかに、歴代監督のなかで、生え抜き以外の指揮官が一人もいない。戦前のプロ野球黎明期には「選手経験のない者」も監督を務めたが、それは巨人に限った話ではない。歴代監督は単なる生え抜きではなく、4番か、エースだった。チームの主軸、つまり、勝敗の責任を負う重圧に耐えてきたOBから選んできた。松井秀喜氏が監督候補とされるのは、勝敗を背負う重圧も経験しているからだろう。
途中交代ができないのなら、一刻も早くチームを建て直さなければならない。
「投手陣にメスが入るのは必至です。先発、救援陣の両方を補強しなければなりません」(前出・プロ野球解説者)
チーム防御率4・69は12球団ワーストだ。エース菅野は3試合目でようやく白星を挙げたが、防御率はまだ4点台。左腕・田口はまだ勝ち星を挙げていない。また、首脳陣が気に掛けているのは、上原が2試合続けて救援に失敗したこと。「キャンプをやっていないのだから、本調子になるのはこれから」と好意的に見る声も聞かれたが、「チームの精神的支柱でもあるので、救援失敗は他選手にも影響が及んでいる」と指摘する関係者もいた。
こうした主力投手たちの不振を聞くと、外部からいくら補強してもチームは波に乗れないだろう。高橋監督は彼らが早く調子を取り戻す方法を最優先に考えるべきである。
「不振の投手たちに関しては暫く様子を見るしかないでしょう。復調が遅れれば、今年もBクラス転落ですよ。投手を補強する必要性は指摘されていましたが、昨秋のドラフト会議では、清宮幸太郎らの外れ1位で鍬原拓也投手を指名しただけです。(支配下)。偏った指名を行った編成にも責任があります」(前出・関係者)
昨季途中で編成トップのゼネラルマネージャーを交代させている。
Bクラスに沈んだ昨季、巨人の観客動員数は295万8890人(1試合平均4万1675人)。主催ゲーム9試合を終えた時点での1試合平均の観客動員数は4万3545人で12球団トップだが、昨季の観客減の原因は大敗に尽きる。GWの書き入れ時の前に最下位転落では、2季連続での観客減も免れないだろう。このままでは今年もフロントトップが交代するような激震に見舞われそうだ。