15日に富山市民球場アルペンスタジアムで行われる主催試合で場内アナウンスを担当し、今後も日程を順調にこなせば、18日の福岡ソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)で1700試合の大台に到達することになる。また一軍公式戦で場内アナウンスを連続して担当した試合は現在、1491試合。試合中止がなければ6月1日の広島戦で1500試合に到達する。こちらも大記録が懸かっている。
現在、NPB12球団で一軍公式戦のウグイス嬢(スタジアムアナウンサー)が1人しかいないのは、ロッテ、オリックスなどごくわずか。「サブロ〜」「ふく〜ら〜」など耳に残る谷保さんの存在はマリン名物のひとつとして、他球団のファンにも定着している。
谷保さんの“一軍デビュー”は1991年8月9日の日本ハムファイターズ戦。球場はなんと川崎球場!谷保さんは川崎時代の最後にデビューし、千葉に移転してからもずっとロッテの試合でコールしながら、チームやファンと喜怒哀楽をともにしてきたのだ。昨年、ZOZOマリンで開催されたオールスター戦で、前年までロッテに所属しこの年からソフトバンクに移籍したデスパイネをロッテ時代と全く同じトーンでコールした際、スタンドからは大きな歓声が上がった。直後のオリックス戦で谷保さんとすれ違ったとき「あのコールは最高でしたね」と声をかけると「そうですか。ならよかったです。ありがとうございます」と笑顔で答えてくれた。
遠征先の富山で取材に応じた谷保さんは「入社2年目から場内アナウンスの仕事をさせていただき、今年で28シーズン目です。場内アナウンスは名前がはっきり伝わることが大切なので、常に明るく元気にアナウンスすることを心がけております」と語る。
「一番うれしい時はマリーンズが試合に勝って『試合終了でございます!』と張り切ってアナウンスするとき、そして子供たちがアナウンスを“真似”してくれるときです。ここまで来れたのも周りの皆様方の支えがあったからだと思っています。いつも感謝の気持ちを込めて声を出しています」と謙虚。「本日は2005年以来となる富山での公式戦アナウンスとなりますので精一杯、頑張ります」と今年の抱負を語った。今年は2度目となる東京ドームでの主催試合も8月21日に控えている。
谷保さんには2000試合出場を目指して、引き続き“谷保節”をスタジアムに響かせてもらいたい。
取材・文 / 増田晋侍
写真提供 / (C)千葉ロッテマリーンズ