「交流戦を見ると、なんでパ・リーグばかりに実力のある、魅力あふれる投手が集まってしまったのかと思わせられるよね。日本ハム・ダルビッシュ、楽天・岩隈、田中、西武・涌井…こういうパワーあふれる投手はセ・リーグにはいない」。
セ・リーグ出身の球界OBがこう嘆くのも当然だろう。球界本格派ナンバーワン投手に贈られる沢村賞を見れば一目瞭然だ。セの投手では、04年に中日・川上憲伸(現アトランタ・ブレーブス)が受賞したのが最後だ。
交流戦が始まった05年以降は、ソフトバンク・杉内俊哉、06年ソフトバンク・斉藤和巳、07年日本ハムダルビッシュ、08年楽天・岩隈久志、09年西武・涌井秀章とパ・リーグのエースたちが独占している。そんな沢村賞の現実が、そっくりそのまま交流戦でも反映されている。
賞金5000万円の優勝チーム、賞金200万円のMVPを見てみるとこうなる。05年=ロッテ、小林宏。06年=ロッテ、小林雅英。07年=日本ハム、グリン。08年=ソフトバンク、川崎宗則。09年=ソフトバンク、杉内俊哉。
「腐っても鯛ではないが、パ・リーグの選手は今でも巨人戦になると妙に張り切っている。交流戦が始まったばかりの時のようにテレビの全国中継があるわけではないのに…」。パ・リーグ球団の関係者は苦笑する。
巨人にリーグ3連覇を許し、けが人続出の今季も首位に立たせているセ5球団の不甲斐なさと対照的に、パ6球団は巨人戦になると燃えるというのだから、頼もしい。交流戦は、パの球団、選手が巨人をはじめとしたセの球団、選手を引き立て役にして、自らの存在を強烈にアピールする晴れ舞台になっているのだ。
しかし、今年で6年目、そろそろ勝たないと、セの6球団は存在価値が問われることになるだろう。とりわけ巨人だ。「巨人はセ・リーグにいるから3連覇できているだけ。パ・リーグに来れば勝てないだろう」。パ側からこう言われても反論できないだろう。
巨人の交流戦開幕2カードは、いきなりパの首位争いをしている西武、ロッテと続く。さあ、どんな戦いぶりを見せるか、巨人の本当の実力がさっそく問われる。