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石原都知事にいっぱい食わされた松沢前神奈川県知事が吉本入りの悲哀

 石原慎太郎東京都知事の移り気で、翻ろうされてしまったかわいそうな人といえば、前神奈川県知事(2期)で、衆議院議員を3期務めた松沢成文氏(しげふみ=53)。

 松沢氏は3選確実といわれながら、神奈川県知事選への出馬をせず、東京都知事選への出馬を表明。この背景には、勇退が濃厚とされていた石原都知事の動向が関係してくる。両者はかねて親交が深く、石原都知事は松沢氏を勇退後の後継候補として目していたのだ。

 ところが、石原都知事が急転直下、4選出馬を表明。直接対決を回避するため、松沢氏は泣く泣く出馬を取り下げ、任期満了に伴い、4月で神奈川県知事を退任した。石原都知事の変心がなければ、今も神奈川県知事職を務めていたと思われる松沢氏。なんとも、お気の毒というしかない。

 その松沢氏が、6月16日、吉本興業グループのクリエイティブ・エージェンシーに所属すると発表。同社は地域振興を目的に、地域密着型の笑いを提供する「エリアプロジェクト」を展開しており、松沢氏は当面、同プロジェクトの推進役となる。

 松沢氏は「政治から身を引くわけではないが、ここしばらくは充電期間だと思っている。自由な発言、自由な活動で人間としての幅を広げたい」と新天地での抱負を語った。さらには、「新喜劇だろうとお笑いだろうと、チャンスをいただければ挑戦したい」と仰天発言もしてみせた。

 故横山ノック氏(元大阪府知事)や東国原英夫氏(前宮崎県知事)のように、お笑い芸人から知事に転身した例はあるが、その逆となると稀有なケース。もし、松沢氏がお笑いの舞台に立とうものなら、異例の事態となる。

 政治の世界での失職で、吉本に身を寄せた松沢氏。悲哀すら感じる進路だが、松沢氏の“本意”は政治活動にあるはず。主客転倒にならぬことを祈りたい。
(蔵元英二)

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