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日本橋に棲む4匹の獅子と4頭の麒麟

 東京メトロ日本橋駅から徒歩1分、首都高速道路下に「日本橋」はひっそりと架かっている。青空をさえぎる高速道路は邪魔だし、日本橋川の流れもよどんでいる。
 公開中の映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」では、最新CG合成技術を駆使した昭和34年の日本橋周辺が見事に甦っているという。銀座で同映画を観てきたという初老の夫婦が記念撮影していた。カメラを持つ旦那さんを、ちょっと若返った奥さんが手招きする。「ここで撮ろうか?でもちょっと暗いわね」と恨めしそうに高速道路を見上げた。
 時代が変わっても、変わらないものもある。石造2連のアーチ橋そのものもそうだし、橋の守り神もしかり。橋の四隅には計4匹の獅子、中央部には背中合わせに2頭ずつ両端で計4頭の麒麟の彫刻がある。

 夕暮れどきにともる照明灯の飾り青銅彫刻なのだが、実はみんな同じように見えて両端でちょっとだけ違う。左端の獅子が口を開けて吠えているのに対し、右端の獅子は口を結んでいる。麒麟もまた橋の両端で口の開閉が異なる。麒麟は繁栄を、獅子は守護を表しているという。
 「昭和34年の東京。高速道路がなかった頃の日本橋周辺は、こんなにも美しかった…」
 そんな同作のキャッチコピーにあるように、翌年に東京オリンピック開催を控えた昭和38年、日本橋の空は高速道路に覆われた。すぐそばの東急百貨店日本橋店(旧白木屋)は平成11年に閉店し、いまは近代的な複合ビル「コレド日本橋」がそびえている。三越、高島屋を加えた有名デパートが集まる日本橋はデートコースであり、一家そろってお出かけするスポットだった。子供たちはデパート屋上の単調な乗り物に興奮し、お子様ランチに目を輝かせた。
 日本橋を中心に東京は繁栄し、守られてきたかもしれないが、失ったものも多い。

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