DVDが発売されたのは4月18日、30歳を迎える誕生日の前日だった。1999年にデビューしてから10年、節目を迎えた選手人生の記録という意味合いも持っている。
「1999年1月24日のデビュー戦から今年1月4日までの42試合から、25試合を自分でセレクションしました。選択の基準ですか? 自分にとって意味があり、思い入れが深く、そしてストーリー性がある試合だという点ですね」
25試合ともなると収録時間は約4時間にもなる。これら全試合を自ら解説している。
「解説っていうか適当におしゃべりしているだけですが(笑)。自分自身で思い入れタップリに語ってます。自分で見ていて面白いですよ、デビュー戦でも昨日のことのように思い出されて。試合についてだけじゃなく、このときは恋に夢中だったなぁとかプライベートな思い出もね(笑)」
DVDの内容はデビューからチャンピオンの座に就くまでの道筋を、この25試合でたどる構成になっている。
「僕自身プロレスファンなので、これまでストーリー性のある試合を組んでもらってきました。ただ強いだけじゃダメ、勝つだけじゃお金は取れません。お客さんが望む試合をやらないと。キック連盟にもジムの会長にも、そうした意図に添ってマッチメイクしてもらってきたし」
チャンピオンになって以降の後半の試合が面白いと語る石川選手。中からベストバウトを3試合選んでもらった。
「まず2005年6月18日のTURBΦ戦(3ラウンドKO勝ち)。次に2008年6月22日のカノンスック・ウィラサクレック戦(4ラウンドKO負け)。そして今年1月4日のスアフワンレック・シービューガーデン戦(3ラウンドKO勝ち)。あくまでも個人的な思い入れなので、皆さんにとってもベストバウトかは分かりません」
石川選手は小さいときからのプロレスファン。プロレスのDVDもよく見るそうだ。
「個人名のDVDが出るのって本当にうれしいですよ、プロレスの選手個人のDVDシリーズみたいで。人気のバロメーターですよね、こういうのいいよなぁって思います。DVDを出すためにキックをやっているわけじゃないけど、作ってもらえるような選手になれたことは素直に喜びたいですね」
今年3月14日の大月晴明戦で3ラウンドKO負けを喫した。それ以降、持ち前のプラス思考が作用しなくなったと振り返る。
「なんでこうなったのか? って、2週間ほど悩みました。どうしても勝ちたかったし。でも、時間と仲間が解決してくれました。青木真也くん。4月5日に桜井“マッハ”速人選手から秒殺負けを食らい、彼もまた僕と同じ心境だった。試合後に2人きりで話し合い、気持ちが通じ合って。僕らには止まっている暇なんてないんだと。敗戦から手に入れたものは大きかったですね」
5月17日には後楽園ホールで次戦「Krush3」が開催される。石川選手は全日本フェザー級王者の山本真弘選手と対戦する予定だ。
「いよいよ30歳。選手生命は残り5年だと考えています。年5試合と考えれば25試合。引退するまでに、もう1本DVDが出せるかな(笑)。やるんなら最後までキチンとやらないと。特に今年は大舞台に立ちたい。大みそか、K-1のリングに。僕のキックに対する恩返しです。そのストーリーを来年以降にも続けていきたいし。自分でも楽しみだなって思いますよ」
いしかわ なおき 1979年4月18日、東京都生まれ。日本大学卒。血液型A。趣味=水泳、スキューバダイビング。スポーツ=キックボクシング、空手。全日本キックボクシング連盟青春塾所属。全日本スーパーフェザー級チャンピオン。43戦27勝(14KO)13敗3分。