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着服を内部告発したのに懲戒免職となった元大阪市職員に処分取り消し判決

 大阪市河川事務所(11年10月に廃止)の元職員の男性(48)が、同僚らが河川清掃中に見つけた金品を着服している実態を市に内部告発した後、懲戒免職処分を受けたのは不当だとして、市に処分取り消しを求めた訴訟を起こしていた。

 その判決が8月29日に大阪地裁であり、中垣内(なかがいと)健治裁判長は「懲戒免職となるほど重大な非違行為とは言えない」として、原告の請求を認め、処分を取り消した。橋下徹市長は「内部告発はできる限り守る」として、控訴しない方向。

 男性は小型カメラで隠し撮りして、その後、映像のDVDをテレビ局などに提供して問題が表面化した。中垣内裁判長は、着服などは悪質とする一方、「長年にわたり事務所ぐるみで行われ、背景に市の監督不徹底があった」と指摘。この内部告発で、不正行為が是正されたことなどが十分考慮されておらず、懲戒免職処分は妥当性を欠き、裁量権の逸脱と結論付けた。

 判決によると、男性は平松邦夫前市長時代の10年6月、河川から引き揚げた現金10万円を同僚と山分けしたほか、事務所の壁を壊したことなどを理由に、同僚5人とともに懲戒免職とされた。

 男性側は現金の受け取りについて、「同僚に警戒されずに撮影を続けるため」などと主張したが、中垣内裁判長は「現金は警察に届けるべきで、(同僚への)どう喝もあった」と認定した。しかし、上記理由で、懲戒免職は行き過ぎと判断された。

 市はこの6人について、遺失物等横領容疑で刑事告発し、府警が書類送検したが、大阪地検は今年4月、いずれも不起訴としていた。

 判決後に男性は「家族に迷惑をかけただけに、安堵の気持ちでいっぱい。間違ったことをしたとの気持ちは今もない」と語った。弁護団の鎌田幸夫弁護士は「告発者の保護につながる判決だ」と評価した。
(蔵元英二)

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