その判決が8月29日に大阪地裁であり、中垣内(なかがいと)健治裁判長は「懲戒免職となるほど重大な非違行為とは言えない」として、原告の請求を認め、処分を取り消した。橋下徹市長は「内部告発はできる限り守る」として、控訴しない方向。
男性は小型カメラで隠し撮りして、その後、映像のDVDをテレビ局などに提供して問題が表面化した。中垣内裁判長は、着服などは悪質とする一方、「長年にわたり事務所ぐるみで行われ、背景に市の監督不徹底があった」と指摘。この内部告発で、不正行為が是正されたことなどが十分考慮されておらず、懲戒免職処分は妥当性を欠き、裁量権の逸脱と結論付けた。
判決によると、男性は平松邦夫前市長時代の10年6月、河川から引き揚げた現金10万円を同僚と山分けしたほか、事務所の壁を壊したことなどを理由に、同僚5人とともに懲戒免職とされた。
男性側は現金の受け取りについて、「同僚に警戒されずに撮影を続けるため」などと主張したが、中垣内裁判長は「現金は警察に届けるべきで、(同僚への)どう喝もあった」と認定した。しかし、上記理由で、懲戒免職は行き過ぎと判断された。
市はこの6人について、遺失物等横領容疑で刑事告発し、府警が書類送検したが、大阪地検は今年4月、いずれも不起訴としていた。
判決後に男性は「家族に迷惑をかけただけに、安堵の気持ちでいっぱい。間違ったことをしたとの気持ちは今もない」と語った。弁護団の鎌田幸夫弁護士は「告発者の保護につながる判決だ」と評価した。
(蔵元英二)