兵庫県警暴力団対策課などは8月21日、JR西日本・山陽線明石駅(同県明石市)の元駅員による定期券不正換金事件で、明石市の指定暴力団山口組系暴力団組長、細田利和(44=明石市魚住町)と同居の元妻・徳岡裕子(43)の両容疑者を、有価証券虚偽記入容疑で逮捕した。2人は「全く知らない」などと容疑を否認しているという。この事件では元駅員3人を含む4人が、詐欺罪などで起訴されている。
逮捕容疑は昨年12月5日、元駅員で5月に逮捕された宇留島剛被告(50)=詐欺罪などで公判中=らと共謀し、同線朝霧駅で姫路〜京都間の6カ月の通勤用磁気定期券2枚(計約63万円)を、細田容疑者らの名義で不正に発行したとしている。捜査関係者によると、これ以前にも、同駅の端末を使って再発行を繰り返していた疑いがあると見て、余罪を追及する方針。
県警によると、細田容疑者と宇留島被告は、06年頃に明石市内の飲食店で知り合ったもよう。宇留島被告は「換金した現金の一部は細田容疑者にも渡した」と供述しており、着服したカネの中から、細田容疑者へ月に数万〜数十万円単位で渡したとみられている。県警は着服金が暴力団の資金源になっていたとみて、裏付けを進める。
JR西日本によると、宇留島被告らは、今年2月までの5年8カ月間で計659回にわたり、定期券を不正に換金し、約8600万円を着服したとされる。不正発覚後、宇留島被告らは3月21日付で、同社を懲戒解雇処分となっていた。
(蔵元英二)