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落ちるのは気分だけじゃない? “うつ病”だと気づきにくい身体の異変

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 日本人のうつ病有病率は2008年時点で12%程度と推定され、全国民の約8人に1人がうつ病かうつ状態にあると医療法人和楽会の貝谷久宣理事長が論文で述べている。それから約10年後の現在、有病率はさらに上昇していると推測される。

 「原因は分からないが憂うつ」「気分が落ち込んでいる」「疲労感が続く」などの状況を抑うつ状態という。うつ状態がより重度になってくるとうつ病と診断される。一つの目安として2週間以上、うつ状態が続くようならうつ病の可能性を疑ったほうがいいとの説もある。

 うつ病になると、「生きていることさえつらい」状態となり、生活や仕事に甚大な影響を及ぼすことも。息苦しくなったり、発汗したり、手足がしびれ、食欲もなくなり、寝てもすぐに目が覚め、慢性的な睡眠不足の状態が続く、いわゆる自律神経失調症の状態となることもある。自分ではただの体調不良と思っていても、実はうつ病の症状ということもあるのだ。

 「もしかしたら自分もうつ病かもしれない」と不安に思った人もいるだろう。以下に、うつ病によって表れるものの、うつ病とは気づかれにくい具体的な症状を列挙するので、ぜひチェックしてほしい。

・耳鳴:聞こえないはずの雑音が聞こえ続け、周囲の音が遠く感じる
・頭痛:慢性的に頭が重たい感じがする
・喉の違和感:ものを飲み込みにくくなったりイガイガしたりする
・鼻詰まり:慢性的に鼻が詰まっている
・めまい:頻繁に立っていられないほどのめまいが起こる
・胃の不調:胸がむかむかしたり、ズキズキしたりして食欲がわかない
・便秘、下痢:慢性的な便秘・便秘に悩まされたり、交互に下痢と便秘に悩まされたりする
・肩こり:慢性的に肩が重たい感じがする
・腰痛:慢性的な腰の痛みに悩まされる
・動悸:何でもないときにも頻繁に動悸が起こる
・味覚異常:食べ物の味が分からなくなったり、全く異なる味に感じられたりする

 これらの症状が頻繁に出たり、長く続いたりしている場合には注意が必要だ。しかし、これらはうつ病でなくても起こりやすい症状であるため、見極めが難しい。それゆえ、精神科に行くなどという考えはみじんも浮かばず、内科や耳鼻科に通い続けてしまう人は少なくない。このことは、うつ病を発症していながら精神科を受診しない人が多い理由の1つであるとも考えられている。病院の各診療科に行って治療しているのにもかかわらず、なかなか治らないという場合は、うつ病にかかっている可能性が高いといえるだろう。

当然ながら、うつ病によって表れる身体の症状はうつ病の治療をしなければ治らない。良い薬を飲んだり良い治療を受けたりして症状が一時的に軽減したとしても、うつ病そのものを治さなければ、またすぐに同じ症状に悩まされることになる。精神科を受診することが、回復への近道だ。

 自分ではそれほどストレスを感じていないと思っていても、実際には大きなストレスを抱えていることもある。「自分は強い」と思っている人は特に、今一度自分の身体の異変と向き合ってみた方がいいだろう。

参考文献(筆者名五十音順)

角田博之他「味覚異常を主訴に来科したうつ病症例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsd1986/16/1/16_1_71/_pdf/-char/ja

今野千聖他「日本在住一般成人の抑うつ症状と身体愁訴」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/15/2/15_KJ00007016744/_pdf/-char/ja

矢野純他「耳鼻咽喉科外来を訪れるうつ病症例の検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/18/1/18_KJ00002404268/_pdf/-char/ja

現代人に影を落とす「新型うつ病」とは(医療法人和楽会 理事長 貝谷 久宣)
http://www.fuanclinic.com/byouki/imidas.htm

文:髙橋和

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