2月1日、プロレスラー・桜庭和志プロデュースによる新格闘技イベント「QUINTET(クインテット)」の開催が発表された。
絞め・関節で争うグラップリングルールで行われ、出場選手といった大会の概要もすでに伝えられている。会見で発表された1チーム五人による団体戦のチーム・メンバーの中には桜庭率いる「HALEO Dream Team」所属としてジョシュ・バーネット、所英男といった日本でもお馴染みの顔触れも揃っている。石井慧ら柔道出身者で構成される「JUDO Dream Team」や、他にもサンボやポラリス(イギリス発の格闘技)などのチームもあり、それぞれのチームカラーがはっきりしているのも魅力的だ。現在の総合格闘技界に消えつつある異種格闘技戦の匂いを感じさせてくれる。
懸念される寝技特有の膠着についても、クロスガード(下になったポジションでの両足での挟み込み)に時間制限を設けるなど、よりアグレッシブに試合が展開していくルールを調整中とのこと。激しい関節の取り合いはファンにとっては新鮮な刺激となり、再び上昇気流を掴みつつある日本の格闘技界であれば、打撃なしの競技でも支持を得られる可能性は十分にあるだろう。
そして、何よりも楽しみなのは、「格闘技のおもちゃ箱」と呼ばれた桜庭の楽しみながら戦う姿がもう一度観られることだ。
近年、2015年の青木真也戦を最後に総合ルールの戦いを行っておらず、プロレスのリングからも離れた桜庭。「死ぬまで戦い続けたい」と語っていた彼にとって、得意とするグラップリングでのビッグイベントは久々にテクニシャンである『桜庭らしさ』を存分に味わえるという思いが溢れかえる。また、常にファンの視点を意識しながらの戦いを生き甲斐としてきた桜庭、自らがプロデュースする新たな戦いの場で、何を提供してくれるのか想像は膨らむばかりだ。
昨年10月、「RIZIN」福岡大会において、桜庭対フランクシャムロックのグラップリングルールでの試合で、桜庭のセコンドとしてチームメートとなるジョシュと所の姿があった。今回、会見の内容を知り、こういうことだったのかと合点がいった。このようなどこかプロレス的な伏線もあり、すでに桜庭らしい「罠」の仕掛けは始まっている。
4月11日、春の訪れとともに両国国技館で観られる新しい景色が今から楽しみでしょうがない。(佐藤文孝)