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北朝鮮へ制裁解除のトランプカード〜9月9日終戦宣言シナリオ〜

 ポンペオ米国務長官が7月6、7日に北朝鮮を再訪問し、金正恩党委員長の最側近、金英哲党副委員長と会談した。この場ではっきりしたのは両国の立場の違いだ。秋までに具体的な成果が欲しい米国の足元を見た北朝鮮は、中国に接近して立場を強め、譲歩を引き出す姿勢をエスカレートさせている。
 「予想されたこととはいえ、中国は6月28日にロシアとともに国連安全保障理事会のメンバー国に対北制裁緩和を求める声明案を配布しました。米国が拒否したので実現されなかったものの、中ロ両国などが対北制裁の解除へ動くのは間違いありません。韓国も中ロと連携して是が非でも緩和させようと画策しています。同日、文在寅大統領は訪韓したマティス米国防長官との会談を“風邪”を理由にドタキャンしています。ホワイトハウスからは『正恩委員長の言いなりになっていることを怒られるから逃げたのだろう』という声が上がっています」(在米日本人ジャーナリスト)

 北朝鮮がなぜ融和政策にかじを切ったかといえば、対北制裁の強化で国民経済ばかりか指導上層部へのプレゼントなど統治資金が枯渇しているからだ。
 「最も深刻なのは人民軍が統制できなくなっていることです。追い詰められた正恩委員長は、軍の不満爆発を抑えるために戦略的決断を下し、韓国の融和路線に乗ることを決めたというのが真相です。従北政策を採る韓国は北朝鮮の非核化措置がハッキリしないにもかかわらず、米韓合同軍事演習を中断させ、在韓米軍撤退論まで持ち出したばかりか、8月20日からは金剛山で離散家族の再会行事が実施されるのを皮切りに経済支援を再開させる腹積もりです。完全な米韓同盟への裏切りです」(朝鮮問題ウオッチャー)

 一方、CIA(中央情報局)など複数の情報機関が北朝鮮による核・ミサイルの隠蔽を確認している。米NBCテレビは先頃、《北朝鮮の秘密施設での核兵器用の濃縮ウラン増産は、米朝首脳会談での非核化合意に反し、北の非核化の疑わしさを裏付けるものだ》と報じた。
 「訪韓後の6月29日に来日したマティス長官は、安倍首相や小野寺防衛相らと次の4点を確認しました。まず北の核についてはCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄)を目標とすること。次に北に対し、具体的な非核化の行動を早く取るよう迫ること。三番目は安保理で決めた経済制裁を堅持すること。そして米国は、日本人拉致問題を重視することの4つです」(政治ジャーナリスト)

 しかし、残念なことに、これら4項目実現の最大の障害となっているのは、正恩委員長の核隠蔽工作ではなく、トランプ大統領の揺れ動く決断だ。11月にトランプ政権の信認が問われる中間選挙があり、それまでにどうしても成果が欲しい。正恩委員長は選挙が民主主義の弱点と見抜いて攻勢を仕掛けているわけだ。
 そのためかポンペオ長官は段階的に非核化を進めると主張する北朝鮮に配慮し、要求のハードルを下げている。6月下旬の米CNNのインタビューでは、米朝交渉で「行程表を付けるつもりはない」と述べ、トランプ大統領の任期中に「大規模な非核化を実現させたい」と、要求をトーンダウンさせた。トランプ大統領が目先の支持率にこだわればこだわるほど、正恩委員長にとってはすべてが有利に運ぶわけだ。
 「北朝鮮は70周年建国記念の日に当たる今年9月9日に“大仕掛け”に出るでしょう。記念行事に中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領、そして文大統領も招くのではないか。韓国は南北分断後、一貫して『朝鮮半島で唯一の合法政府』と主張し、北朝鮮を国家として認めていません。ですから、文大統領が建国記念日のイベントに出席するということは、北を国家として認めることになります。韓国主導の南北統一という目標を否定することにもなりかねません」(国際ジャーナリスト)

 そして9月下旬には国連総会が予定されている。
 「日本の官邸筋内では、この国連総会に正恩委員長が出席し、演説をするのではないかと囁かれています。正恩委員長は朝鮮戦争の終結や朝鮮半島の非核化など米朝首脳会談に盛り込まれた合意を改めて強調し、国際社会に華々しくデビューするという観測です。そうなれば当然、米国は正恩委員長のニューヨーク訪問を認めるわけですから、滞在中、トランプ大統領との2回目の会談も可能になります。米国内のテレビなどは大々的に報じ、11月に予定されている中間選挙に向けて大きな弾みにするとトランプ大統領は考えているのではないでしょうか。こうなると日本にとっては、カネは出したが荷(非核化)が届かないという困ったことになります」(同)

 米海軍のミサイル駆逐艦2隻が7月7日、2007年以来11年ぶりに台湾海峡を通過した。中国との貿易戦争の戦端が開かれたことで揺さぶりを掛けるのが狙いだ。
 「正恩委員長が強気なのは習主席から『見返りを得ながら段階的に非核化を進める方針』の支持を取り付けたばかりか、体制の保障でも協力を得たからです。しかし、トランプ大統領は中国圧力を弱める気はありません。音を上げた習主席が正恩委員長の首を差し出さないとも限りません」(同)

 他国の足元ばかりを見ている正恩委員長は、そのうち自分の足元をすくわれるかもしれない。

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