内容はというと、本格的なアイドルを目指す彼女たち9人(全員が事務所に所属はしている)に歌わせたり、未知のジャンルに挑戦させたり、ドッキリを仕掛けたりというバラエティーだ。
その9人は写真を見ていただければわかるとおり、確かにかわいいと思う。アイドルとしてのルックスを兼ね備えている。合格点だ。
だが、世間的にはどうなのか?あくまでブレイクする“きっかけ”をつかめればいいのかもしれないが、せっかく地上波でオンエアされているのだから、本来ならばもっと知名度が上がってもいいはずである。
1年以上前の番組開始当日、フジテレビと関係のある某新聞では『アイドリング!!!』の全面広告が掲載された。キャッチコピーは「本気」だった。要は、フジテレビは本気でこの番組に取り組みます、ということだ。
どう本気なのかを確かめるため、『アイドリング!!!』を見てみたのだが、ハッキリ言って従来のアイドル番組の呪縛から逃れていなかった。アイドルをいろんなことに挑戦させたり、ドッキリを仕掛けるという内容はすでに『天使のUBUG』(フジテレビ系)で90年代半ばに取り組んでいるし、それに“本気”で会議を重ねた結果の企画とは到底思えなかった。これでは1〜9号までいるメンバーたちが浮かばれない。
地上波的な観点(特にゴールデンタイム)からいえば、アイドルはメインディッシュではなく、あくまでデザートとしての機能しか果たすことができなくなった。基本的には20年前から変わっていない。そこで「どう味付けをすればいいのか」という問題が浮上してくるわけだが、テレビマンたちは「いわゆるバラエティー」という味付けをしておけばいいと思いこんでいるフシがある。だから、番組として、企画として失敗するのだ。
『ASAYAN』から出たモーニング娘。がなぜに成功したのか?番組関係者はもっと“本気”で考えてから番組を始めてもらいたかった。アイドルが現在置かれている状況についても。
9人の中から将来的に大ブレイクするアイドルが出るかもしれないが、『アイドリング!!!』という番組が大ブレイクすることは、残念ながら、ないだろう。もったいない…。