「五輪の前月となる今年1月に開催された全豪オープンで、チョン・ヒョン(21)が韓国選手として初めて男子シングルスでベスト4に進出したのです。この快挙を報道しないわけにはいきません。韓国メディアは五輪情報と同じくらい、彼の快挙を伝えています」(現地入りした記者)
その影響だろうか。韓国メディアは「チョン・ヒョンがどれくらい凄いか?」ということを伝えるため、比較対象として日本の錦織圭(28)を取り上げたのだ。
「全豪オープンとチョンが脚光を浴びたのは、彼が同4回戦で元世界1位のノバク・ジョコビッチにストレート勝ちを収めたことがきっかけでした。韓国のスポーツメディアが快挙として伝え、その直後、米メディアが『決勝に進出すれば、アジア人では'14年全米オープンの錦織以来』と報じたのです。そこから、韓国は錦織との比較を始めました。韓国ではちょっとしたテニスブームが始まり、関連商品の売上げは1月末時点で前年比の約2倍にも及んだそうです」(同)
韓国スポーツメディアによれば、「錦織はベスト4進出まで7年かかった。チョンは錦織より3年も早い」と報道。さらに、「チョンは外交官のような優れた英会話をこなす」とも伝えていた。どの国でもそうだが、自国選手が国際大会で好成績を収めると、その競技が急に脚光を浴びる。自国びいきは仕方ないとしても、こんな声も聞かれた。
「韓国にも根強いテニスファンが元々いて、彼らにとって錦織はアイドルです。チョンの快挙をきっかけにテニスに興味を持ったファンも、錦織との比較でその凄さを認識したらしく、『21歳のチョンはこれからの選手、錦織は凄い』とリスペクトしています」(TV局員)
当然、錦織は韓国での露出度が上がり、五輪の裏でファン拡大となったようだ。
遅ればせながら、韓国でも錦織ブームが到来しそう。ただ、「五輪よりもテニス」となったのは、開催権を踏みにじった北朝鮮への腹いせもあったかもしれない。
この数年のアジア勢の活躍について聞かれたチョンはこう答えている。
「僕たちアジアの選手は皆、錦織選手を目指し、一生懸命追いかけている。彼はアジアの誇りです」
ちなみに、右手首損傷で心配された錦織は2月13日、ニューヨーク・オープン初戦勝利でツアー復帰戦を飾っている。