4月14日、本拠地・甲子園球場で迎えた中日ドラゴンズとの一戦で、阪神の4番・大山悠輔(24)が4打数2安打と活躍した。初回にヒット、7回裏の攻撃でも二塁打を放った。まだ打率は2割2分4厘と低迷しているが、一時は1割台にまで落ち込んでいた。14日の活躍が浮上のきっかけになれば、チームも順位を上げていけるだろう。
「同日は4回裏に5点を挙げ、それが勝利に結びつきました。その4回裏、大山は遊ゴロに倒れました。チャンスで打たなければ意味がありません」(プロ野球解説者)
そんな厳しい声も聞かれた。一部メディアでも「次は、大山の番」と酷評されていた。
どういう意味だろうか。矢野燿大監督(50)は若手育成の方針を掲げ、開幕スタメンに新人の木浪を抜擢した。しかし、「打てない」と判断するなり、スタメンから外した。「その木浪の次に外されるのは大山」と予想されているのだ。
「4番が打てないとなると、得点効率もガクンと落ちます。対戦投手もナメてかかります」(前出・同)
阪神のチーム打率は2割2分6厘。こちらはリーグ5位なので「まだ下がいる」というわけだが、この14日の試合を終えた時点で、チーム全体で放った本塁打数は、たったの8本。巨人打線は22本を放っているので、いかに阪神打線が怖くないかが分かる。
「大山の魅力は長打力を秘めているところ。今は苦しんでいますが」(在阪記者)
そんなふうにかばう声も聞かれた。しかし、チームの勝率も良くないこともあり、一時的にでも、大山の打順を下げるべきだとの意見も多い。
「昨季は、外国人選手のロサリオを4番にして開幕戦を迎えました。結局、そのロサリオを我慢して使っているうちに、チームも負けが込み、優勝戦線から完全に脱落してしまったんです。若手を育てることも大切ですが、チームの勝利は犠牲にできません」(前出・プロ野球解説者)
あくまでも、4月14日の中日戦を終えた時点での話だが、矢野監督は大山を4番のまま使い続けるつもりだという。木浪は外したが、大山は外さない…。えこひいきではない。そのあたりの理由は「ライバル巨人との比較」にあるそうだ。
昨年、ペナントレースが終了したとき、阪神上層部は若手育成の必要性を再認識したという。そのとき、挙げられたのが同じくチームの世代交代の時期にあった巨人との比較だ。
「岡本和真という4番が育った。巨人のスタメン選手の顔ぶれはほとんど変わらないが、4番が育つとチームに格のようなものもできる」
このような意見が出たそうだ。
要するに、若手育成にも優先順位があり、4番とエースは生え抜きでなければならないと痛感させられたのだ。
ご説、ごもっとも。阪神の4番とエースは外国人選手だった。矢野監督はその現状を変えたいと思っているそうだ。
巨人サイドの話をすれば、4番として2年目のシーズンを迎えた岡本に対し、原辰徳監督は「強打の5番バッターが必要」と見ている。岡本一人に勝敗の責任を背負わせないためだ。矢野監督は5番・福留に絶大な信頼を寄せている。その福留が元気なうちに大山をなんとかしなければならないようだ。
(スポーツライター・飯山満)